アメリカの映画の祭典、「第97回アカデミー賞」の授賞式が2日、ロサンゼルスで行われ、ノミネートされていた日本の3作品は受賞を逃しました。
長編ドキュメンタリー賞にノミネートされていた伊藤詩織監督の「Black Box Diaries(ブラック・ボックス・ダイアリーズ)」は、伊藤監督が自身の性的被害を検証し、訴える姿を描いた作品です。
授賞式前、レッドカーペットでインタビューに応じた伊藤監督は「性暴力について、映画でも報道でも、なかなか話しづらいことなので、こうやってアカデミーアワードの場でレッドカーペットに立って、この話をできるというのは、本当にサバイバーにとっては大きな一歩だと思います」)と語っています。
長編ドキュメンタリー賞は、イスラエル軍によってヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地区から強制的に追放される住民の姿をスマートフォンや手持ちカメラで撮影した「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」が受賞しています。
短編ドキュメンタリー賞にノミネートされていた山崎エマ監督の作品、「Instruments of a Beating Heart(インストゥルメンツ・オブ・ア・ビーティング・ハート)」は、2021年度のコロナ禍の日本の公立学校で過ごす子どもたちと教師の姿を描いた作品です。
山崎監督は、レッドカーペットで 「短編ドキュメンタリー賞に、日本人監督が撮った日本のものが初ノミネートということで、日本を代表するような覚悟も持って、これからも生きていこうかなと感じています」と語っています。
短編ドキュメンタリー賞は、女性として初めてニューヨーク・フィルハーモニックの正式団員となったコントラバス奏者を描いた「ザ・レディ・イン・オーケストラ: NYフィルを変えた風」が受賞しています。
また、短編アニメ賞にノミネートされていた「あめだま」は西尾大介監督とプロデューサーの鷲尾天氏が手掛け、アニメ「プリキュア」シリーズを立ち上げた名コンビがおよそ20年ぶりにタッグを組んだ作品です。
「あめだま」は韓国を代表する絵本作家ペク・ヒナ氏の作品を映画化したもので、少年が不思議なあめだまを通じて、心の声が聞けるようになり初めて他人の心を理解し、自身の気持ちを伝えることができるようになる過程を描いた作品です。
授賞式前のレッドカーペットで西尾監督は「(ノミネートは)思ってもみなかったので、ふわふわしている」と話し、鷲尾プロデューサーは、「本当に信じられない気持ち」と語っていました。
短編アニメ賞を受賞したのはイランの作品「イトスギの影の中で」でした。