広島県内の倉庫に保管されている山のような「コメ」。防犯上の理由から詳しい場所や企業名を明かさない条件で、倉庫にテレビ新広島のカメラが入った。価格高騰の歯止めとして期待される「政府備蓄米」の実態とは?
富山産などコメ1800トンを保管
取材班が向かったのは広島県内にある倉庫。厳重な扉を開けて中に入ると、見渡す限り米袋が山のように積み上げられている。これらはすべて政府の備蓄米だ。

農水省から委託を受け、県内の民間企業が管理している政府の備蓄米。高さ12メートルの巨大な倉庫に、30キロの米袋が1万8000袋、約1トン入りのプラスチックバッグ1137個が保管されていて、コメの量は合計約1800トンにのぼるという。産地は広島・富山・島根・鳥取など。国産だけでなく外国産のコメも保管している。

備蓄米は深刻な不作や大規模な災害などで供給量が大幅に減少した際に使われるもので、全国約300箇所の倉庫で約91万トンのコメが保管されている。
コメの平均価格、前年比90%以上高く
2025年2月14日、政府は止まらないコメの価格高騰に備蓄米の放出を決めた。

江藤拓 農水相:
販売数量は21万トンとします。いわゆる流通が滞っている、スタックしている、この状況を何としても改善したい。

農水省がまとめた全国のスーパーのコメの平均価格は2025年2月10日〜16日の1週間で5キロあたり3892円と、2024年の同じ時期の2042円に比べ90%以上高くなっている。コメの価格をおさえるねらいで備蓄米を放出するのは初めてのケースだ。
1年中、低温で徹底した品質管理
今回、倉庫を公開した管理会社は1995年に備蓄米の制度ができた頃から備蓄米の管理を担っている。

これまで災害による備蓄米の放出は経験がないが、途上国向けの援助米を出荷したことがあるという。また2月26日時点で「今回の備蓄米放出の対象になるかはわからない」としている。

一方で気になるのがそのおいしさだ。
この倉庫では徹底した品質管理を行っているという。温度計の数値は10.8度。1年を通して倉庫内の温度や湿度を一定に保ち、おいしさを維持するために低温で保管されている。また、ネズミの侵入を防ぐ「ネズミ返し」も設置されていた。
今後、放出される備蓄米は早ければ3月下旬には店頭に並ぶ見通しで、値下がりに転じるかどうかが注目される。
(テレビ新広島)