9月は1日が「防災の日」。そして台風などの災害に備える場面も増え、備蓄食、非常食などを見直す機会でもある。

最近は、新型コロナウイルスの影響もあり、買い物の頻度を少なくするため、食材などを多めに買って冷凍保存している人も。冷凍庫の中には食材などが詰め込まれているという家庭も多いだろう。

(料理研究家の石澤清美さん)
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災害はいつ起こるかわからない。停電や断水なども突然起こる。そんなときに日常的に冷凍庫で保存しておいた「下味冷凍」、調理済みストックレシピの冷凍が活躍する。今回、『下味冷凍 スピードおかず 時短!節約!おいしさアップ!』(主婦と生活社)の著者であり、料理研究家・石澤清美さんに災害時の活用法などについて聞いた。

アレンジが効く「下味冷凍」を

著書では生肉や生魚、野菜などの生の食材と調味料を袋に入れて、味をつけてから冷凍した「下味冷凍」に、調理する際に野菜などを足すことで、さまざまな料理に展開できるレシピを豚肉、鶏肉、牛肉、魚とジャンル別に紹介している。

『下味冷凍 スピードおかず 時短!節約!おいしさアップ!』(主婦と生活社)より

レシピの1つ、「豚もも肉のねぎ塩味」は、チヂミや紅しょうが天など、さまざまな料理になったり、生野菜と合わせて食べたり、いろいろなアレンジが可能だ。

下味冷凍した「豚もも肉のねぎ塩味」
「豚もも肉のねぎ塩味」は湯せんで加熱調理してからサラダのように食べても

「下味冷凍」は生の食材に調味料を合わせるため、食材に味が染みこみやすく、ヘルシーに食べることができ、保存期間も伸びるため、フードロスにもつながる。

「下味冷凍」災害時は冷蔵庫での解凍と湯せんで

著書で紹介されている「下味冷凍」は、生肉や生魚を使って味付けをしているため、平時、非常・災害時に関わらず“調理”が必要になるが、自宅で避難生活を送る場合も活用することができる。

そこで、平時・災害時の解凍方法も教えてもらった。

まずは平時の解凍方法から。

著書のレシピには解凍して調理するもの、半解凍で調理するもの、凍ったままでも調理できるものごとにラベリングされている。

石澤さんは、「解凍して調理するもの」は冷蔵庫で解凍することがベストだと言う。冷蔵庫でゆっくり解凍させるために朝、冷蔵庫へと移せば、夕方には解凍状態に。忘れてしまった場合は、電子レンジの解凍機能を使う。

レシピによっては、表面だけが解凍された状態の「半解凍」で調理できるものもあり、その場合は冷蔵庫で2~3時間、電子レンジであれば耐熱皿にのせて600Wで約1分加熱するとその状態に。解凍後は、さまざまな料理にアレンジして食べることができる。

湯せんした「豚もも肉のねぎ塩味」

非常・災害時に熱を通したい場合は、湯せん調理に。家庭での備えとしてカセットコンロとガスボンベを準備しておき、お湯を沸騰させ、火を止めて30分ほど湯せんするだけで出来上がる。

タオルなどで鍋を包んで保温

このとき、鍋をタオルや新聞紙、段ボールで包んで保温する。また、30分後の湯せんしたお湯も70℃前後で温かく、非常・災害時はこのお湯を別のことに利用することも可能だ。

ちなみに、平時でも非常・災害時でも火をかけたまま鍋に食品用保存袋を入れてはいけない。耐熱温度には限度があり、それを超えると溶けてしまうこともあるからだ。必ず火を止めた状態で食品用保存袋を鍋に入れる。

また、災害時は電気、ガス、水道などライフラインが使えなくなることもあり、特に冷蔵庫は停電すると庫内の温度が上昇してしまう。それを防ぐためには、冷蔵庫の開閉を控えることが重要になる。一度開けるとすぐに温度は下がってしまうため、モノを取り出すときは何を取り出すか決めることが大切だという。

冷凍庫に入れておきたい調理済みストックレシピ

著書では生魚や生肉を調味料につけこんだ「下味冷凍」を紹介しているが、今回は石澤さんに特別に非常・災害時にも加熱調理の必要がなく、冷蔵庫等で自然解凍して食べられるストックレシピを教えてもらった。

この、「鶏肉とナスのトマト煮カレー風味」は、もちろん平時でもおいしく食べることができる。

「鶏肉とナスのトマト煮カレー風味」

<レシピ>2~4人分
鶏むね肉1枚(300グラム)
ナス3本
トマト2個
ピーマン3個
エリンギ1パック
玉ねぎ2/3個
ニンニク1かけ
オリーブオイルまたは植物油 小さじ2
白ワインまたは水 大さじ1
塩小さじ1/3

(A)
カレー粉 小さじ2(辛みが苦手なら小さじ1)
トマトケチャップ 大さじ2
塩小さじ1/3

1. 鶏肉は8~10等分に切り、塩小さじ1/3をまぶす

2.ナスは厚さ1センチの半月切りに、トマトはへたを落としてざく切り。ピーマンとエリンギは一口大に切り、ニンニクは薄切り、玉ねぎは1センチ角に

3.中火で油を熱して鶏肉とニンニクを炒める。鶏肉の表面の色が白く変わったら玉ねぎ、ナス、エリンギを加えてざっと炒める

4.油が全体に回ったらトマトを加えて混ぜ、白ワイン(水)を入れて蓋をする。途中、1~2度混ぜながら3~4分蒸し煮にして、野菜から水が出るのを待つ

5.(A)を入れ、ピーマンを加えて混ぜながら5~6分煮詰める

6.粗熱が取れるのを待って、食品用保存袋に空気を抜くように入れ、薄く平らにして冷凍

「豚肉とナスのトマト煮カレー風味」

「カレー粉は落ち込んでしまった気持ちを上げたり、消化を整える生薬でもあります。日常でも災害時でもストレスが溜まっているときに食べると気持ちがスッと楽になったりします」

非常・災害時は自然解凍してそのまま食べることができ、平時で少し温めたいときは、フライパンや電子レンジで温めたり、湯せんしてもいい。

ちなみに「むね肉を使っていますが、もも肉や豚、牛でも構いません。野菜は、冷蔵庫で解凍して食べるのは向いていないじゃがいもを避ければ、どんな野菜でも合います。また、トマトでとろみを出しているのですが、酸味が苦手な人は砂糖を小さじ1杯かママレードを入れると香りが出て食べやすくなります」とアドバイスも。

備蓄食や非常食は食べ慣れてない人も多く、慣れた味付けを食べることで気持ちの安定にもつながっていく。普段の冷凍ストックが非常・災害時にも役立つということも知っておくのもいいかもしれない。

『下味冷凍 スピードおかず 時短!節約!おいしさアップ!』(主婦と生活社)

石澤清美
料理家。国際中医薬膳師、国際中医師、ハーバルセラピスト。書籍、雑誌、テレビなどで活躍するほか、料理教室も主宰。ヘルシーでおいしく、作りやすいレシピが好評。