身長145cmの小柄な体格ながら、得意の突きで全日本空手道選手権を制した中学3年生の女子が愛媛・今治市にいる。今度は、切磋琢磨してきた姉とともに世界の頂点を目指す。日本一の座を手にした彼女の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

張りつめた空気の中で磨かれる必殺の突き

ピンと張りつめた空気の中、道場に稽古の気合いが響く。今治市の大西中学校3年、松岡心桜選手は小柄な体に秘めた「稽古は絶対休みたくない」というガッツが、日本一への道を切り開いた。

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松岡選手は「小学3年生の全国大会に出たのがきっかけで、優勝したいという気持ちがあふれてきて、そこから本格的に始めました」と語った。

日本一を目指す稽古は週に3回。今治市の自宅から松山の道場への送り迎えのほか、練習相手も務めてくれる家族のサポートを受けて、空手に打ち込んできた。国際・如水会館原田道場の原田寛館長は「体格差にひるむことなく、臆することなく一気に相手の間合いを詰めて懐に入った中で、強烈なパンチで組手をリードするタイプの選手」と、その特徴を語る。

再延長戦を制した日本一への執念

自信のある突きを武器に、松岡選手は2024年末、日本一の座をかけた勝負に挑んだ。第42回全日本空手道選手権大会中学3年女子軽量級50kg未満の部に出場し「後ろに先輩とお父さんがいると思って。それを勇気に」試合に臨んだ。

勝負は再延長までもつれたが、松岡選手は粘り強く、磨いてきた「突き」を信じて戦い抜いた。「ここまで来たら絶対勝ちたいという気持ちと精神力でがんばりました」その執念が実を結び、ついに悲願の優勝を手にした。

優勝の証となるベルトを手に、松岡選手は「道場の先輩がもらっているところを見て自分も欲しい、手に取りたいという気持ちが強かったので、自分が取れた時は本当にうれしかった」と感慨深げに語った。

姉妹で挑む世界への新たな一歩

日本の頂点に立った松岡選手の次なる目標は、2025年2月24日に福岡で行われる世界大会だ。

この大会には切磋琢磨して技を磨いてきた姉の優奈さんと姉妹で出場する。「お姉ちゃんも出るからには絶対優勝を目指していると思うので、姉妹で優勝できるようにがんばっています」と、新たな挑戦への意気込みを語る。

松岡心桜選手:
海外選手になると、より自分より大きい選手が出てくると思うんですけどそこに怯えず、しっかりパンチをきかしていきたいと思っています。

春には高校に進学するが、さらなる高みを目指して競技を続ける決意を固めている。「自分の成長、自分のことも一歩ずつ進んでいって、後輩たちを教える指導力も一歩ずつうまくなっていって、後輩のためにもなるような先輩になりたい」。その言葉には、単なる競技者としてだけでなく、指導者としての成長も見据えた深い意味が込められている。

松岡選手は「ジュニアで小さくても全国大会で優勝できるということが、道場の後輩たちに見せれたので、次は一般で優勝、全国優勝を目指す」と新たな目標も掲げた。

「勝ちたい」という強い思いを持ち続け、日本一をつかんだ松岡選手。さらに精進を重ね、後輩たちの道しるべとなれるよう、一歩ずつ歩み続ける。

(テレビ愛媛)

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