2月13日、オンラインゲームを通じて知り合った日本人の男子高校生を誘拐した疑いで、タイのドンムアン空港で拘束された、藤沼登夢容疑者(29)。

タイ当局によると、藤沼容疑者は誘拐した日本人の男子高校生を、タイと国境を接するミャンマーの犯罪拠点に連れて行き、特殊詐欺を強要したとみられています。

男子高校生は1月17日に保護され、日本に帰国。藤沼容疑者は今後、日本に強制送還され本格的な捜査が行われる見通しです。
しかし、ミャンマーを拠点としている中国系の犯罪組織には、日本人26人を含む6000人以上が監禁されているとみられています。
監禁されていた250人を保護
いまだに多くの人を監禁し、暴行を加えて特殊詐欺に加担させているという、中国系の犯罪組織。12日に新たな動きがみられました。

監禁されていたとみられる外国人250人以上がタイ当局に保護され、犯罪拠点のあるミャンマー側の国境付近から、川を渡ってタイへ送られたといいます。

タイ当局によると、保護された人たちは、アフリカ、アジアを中心に20の国と地域に及ぶといい、タイ側は、100人以上の兵士と軍用トラック10台以上を使って保護した人たちを移送。聞き取りを行ったあと、それぞれの国に帰す予定です。

今回、保護された250人以上の中に日本人は確認されず、日本人26人はいまだに監禁されているとみられます。
電力の供給停止で一斉解放へ
なぜ、突然、250人以上もの人が一斉に解放されたのでしょうか?
その背景にあるとされるのが、タイ政府が行った「電力の供給停止」です。

今回保護された人々は、特殊詐欺グループの拠点が複数あるといわれている、タイ北部のターク県と接するミャンマーの街にいたとされています。

多くのビルやマンションなどが立ち並びぶこの場所は、タイが国境を越えて電力を供給していますが、2月8日、電力が安定しない不安定な状態が続きました。

実は、タイ政府が、特殊詐欺に使う通信環境を遮断するため、電力をストップさせていたのです。
この作戦について、犯罪ジャーナリストの石原行雄氏は、電力供給が停止され、通信環境が遮断されたため、犯罪組織がこの地域の詐欺拠点を捨てた可能性があると指摘します。

犯罪ジャーナリスト 石原行雄氏:
この(街の特殊詐欺)部隊はもうあまり使えないから、もう置き去りにして(保護された250人以上が)捨て置かれた可能性もあります。
――なぜ、タイ政府は電力の供給停止に踏み切ったのでしょうか?
この犯罪組織を運営するのが中国の犯罪組織だっていうことですね。
一番大きいのは、先週の2月6日木曜日にタイの首相がですね、中国・北京の人民大会堂へ赴いて、中国側と会談を行ったんですね。タイっていうのは非常に中国共産党と太いパイプを持っている。

特殊詐欺グループへの対応について、中国側と協議した可能性もあるといいます。
では、今回の対応でどこまで効果が出るのか、石原氏は。

犯罪ジャーナリスト 石原行雄氏:
(犯罪組織は)数千人規模の組織ということですから、やはりそれを逃れて、また別の拠点に移ったところで、同じ犯罪を続けるっていうような可能性は十二分に考えられると思います。
カズレーザー氏「物価が安い地域はリスクがある」
一部保護には至ったものの、いまだに6000人以上が監禁されている可能性があるというミャンマーの犯罪拠点。「めざまし8」のゲスト陣は、今回の件をどう受け止めたのでしょうか。
ジャーナリスト 風間晋氏:
今回思ったのは、ミャンマーの破綻国家ぶりというのがすごいなと思って。
要するにこれだけの大規模な犯罪を、タイ国内でも中国国内でも無理ですよ、当局の取り締まりが必ず入るので。それがちょっと川を越えたミャンマー国内だとできるっていう。
中国の犯罪組織が利用しているっていう実態がすごくよく分かるなと。おそらくミャンマーのエリアの軍の組織というか、部隊みたいなものもこれを黙認していたり、そういう実態はあると思うので。ミャンマーの情勢が落ち着かない限り、こういうのは続いちゃうのかもしれないと思いますね。
カズレーザー氏:
(犯罪を)やりやすいところを見つけて、そこでというところだと思うんですけど、タイに関してはそんなに治安が良くない、安全ではない地域ってあるのは事実で。
今、格安旅行とか、物価高なので海外とかで物価が安いところピンポイントで「こういう所がおすすめですよ」ってもちろん情報では来るんですけど、それなりのリスクがある。物価が安いところって、なんで安いかって理由があるんだっていうのを意識した上で、あんまり聞かない地域の旅行とかって、僕は勧めない方が良いんじゃないかなと。
結構、簡単にそういう情報が入ってくるんですけど、リスクがあるってことを理解した方がいいんじゃないかなと思います。
(めざまし8 2月14日放送)