日常に見聞きする出来事のなかで、「この法律や判決はおかしくない?」などと疑問を持つこともあるはず。

弁護士の中村真さんは、法律は本来、時代や価値観の変化に沿って「これでいいのか?」と疑問にさらされ続けなければならないと考えている。

社会に存在する“ふしぎな法律”をゆるいイラストと合わせて短い時間で簡単に理解でき、面白さやおかしさ、正しさ、そして間違いを解像度高めに解説する著書『世にもふしぎな法律図鑑』(日本経済新聞出版)から、「お風呂代、スーパー銭湯は高いのに近所の銭湯はなぜ格安?」について、一部抜粋・再編集して紹介する。

なぜ銭湯の料金は安い?

【物価統制令】(昭和21年勅令第118号)
第4条 主務大臣物価ガ著シク昂騰シ又ハ昂騰スル虞アル場合ニ於テ他ノ措置ニ依リテハ価格等ノ安定ヲ確保スルコト困難ト認ムルトキハ第七条ニ規定スル場合ヲ除クノ外政令ノ定ムル所ニ依リ当該価格等ニ付其ノ統制額ヲ指定スルコトヲ得

銭湯に行き、湯船に浸かって手足を伸ばすと、浮世の憂さの全てがほんの一瞬だけどうでもよくなります。

広々とした湯船、恐ろしく安いシャンプー・リンスや四角い石鹸、原理のよくわからない電気風呂、湯上がりのフルーツ牛乳など、銭湯の魅力は数多くありますが、我々庶民に優しい価格設定もその一つです。

フルーツ牛乳なども楽しみのひとつ(画像:イメージ)
フルーツ牛乳なども楽しみのひとつ(画像:イメージ)
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参考までに私が足繁く通っている自宅近くの銭湯の値段を挙げると、大人(12歳以上)400円、中人(6歳以上12歳未満)150円、小人(6歳未満)60円という驚きの安さです(しかも学生証を提示すればさらに50円引き)。

今や弁護士費用以外の全てのモノ・サービスの価格がうなぎ上りに高騰している状況にあって、銭湯の価格の上方硬直性はどのようなからくりによって生じているのでしょうか。