甚大な浸水被害があった山形・戸沢村で、ラーメンの炊き出しが行われた。仮設住宅など、今は別々の場所で暮らす蔵岡地区の住民たちは熱々の一杯を味わい、なじみの顔とのひと時を過ごした。
企画者は戸沢村出身「お世話になった」
炊き出しに招かれたのは、2024年7月の大雨で甚大な浸水被害があった戸沢村蔵岡地区の住民たち。訪れた住民は「すごくおいしい。みんなラーメン大好きだから」と笑顔を見せた。

村内の倉庫を借りて行われたこの炊き出しは、県内を中心にラーメン店を営む「新旬屋」の半田新也さんが企画した。戸沢村出身の半田さんは「元々ラーメン屋をやる前に、蔵岡地区で働いていた。その時にすごくお世話になった。それもあって」と話す。
150杯を用意 仮設住宅に出前も
2024年の大雨の直後に「冷たいラーメン」の炊き出しを行っていて、今回で2回目。2月11日は店のスタッフも応援にかけつけ、150杯を用意した。

炊き出しの会場は仮設住宅のすぐそばで、出来上がったラーメンの出前も行った。半田さんは「水害は終わったかと思ったが、まだ仮設住宅にいる人や大変な人がいる。今回は冬に温かいラーメンで来てみた」と語る。

半田さんの呼びかけに、酒田市のお好み焼き店「神楽」や上山市の卸売業「加藤物産」も賛同し、お好み焼きやお菓子も振る舞われた。
久々の再会に住民たちも笑顔
度重なる水害があった蔵岡地区では集団移転の計画が進んでいて、いま地区に住んでいる人はわずか。仮設住宅やアパート、知り合いの家など、それぞれの場所で生活している。

11日の炊き出しは、地区の人たちが久々に顔を合わせるきっかけにもなった。住民は「おいしいよ。ありがたい。こうやってみなさんから面倒を見てもらって。なんか楽しみがないとバラバラだから。地元の人たち、なかなか顔を合わせられない。何かの形でこうやって会えれば」と話した。

半田さんは「早く自分の家でゆっくり暮らせるようになれば一番いいと思う。我々はラーメンしか作れないので、何かできるわけでもない。ラーメンで恩返し、何かきっかけが作れれば、何かできれば」と語った。
おいしいラーメンを食べながら、なじみの顔と交わす何気ない会話。心も温まるひと時となった。
(さくらんぼテレビ)