2024年1年間の刑法犯の認知件数が73万件を超え、去年から大幅に増え3年連続で増加したことがわかりました。治安情勢が悪化している実態が浮き彫りになっています。

警察庁が発表した2024年1年間の犯罪情勢によりますと、刑法犯の認知件数は73万7679件で、2023年から3万件以上増え、3年連続の増加となりました。

▼窃盗犯

罪別では、窃盗が全体の7割近くを占め、万引きが前の年から5000件以上増えたほか、自転車盗も1万件近く増えています。

また、太陽光発電施設などから銅線ケーブルが盗まれる事件も深刻な問題となっていて、銅線ケーブルを含む金属盗の認知件数は約2万701件に上り、統計を取り始めた2020年以降で最多となりました。銅線ケーブルの窃盗については、不当滞在の外国人グループによる犯行が多いほか、ドラッグストアなどでは外国人による組織的な大量万引きが行われ、海外へ不正に輸出されている実態もあり、警察庁は「治安上の大きな課題」としています。

▼重要犯罪

殺人事件は2019年以降で最多となり970件に上っていて、警察庁は、これまでも大きな割合を占めていた親族間での殺人事件が増加したことが要因としています。

SNSの闇バイトによる強盗事件が問題となっているなか、強盗の認知件数は3年連続の増加となり1370件でした。

また、2023年に改正された「不同意性交等罪」の認知件数は3936件に上り、2023年から4割以上増加しました。不同意性交等罪に関しては、男性被害者が2023年から6割近く増え156人でした。

警察庁は「法改正により処罰要件が明確化され、被害を申告しやすくなったのではないか」と分析しています。

▼少年犯罪

刑法犯で検挙された14歳~19歳は、3年連続で増加し2万1762人で、2019年以降で最多となりました。すべての罪種において増加していて、路上強盗が増えたほか、暴行(2割増)や傷害(1割増)も増えています。特に16歳と17歳の検挙数が大幅に増えました。

▼児童虐待

児童虐待の検挙件数は、前の年から約1割増えて2649件に上り、過去最多となりました。

身体的虐待が2000件を超え、全体の8割を占めていて、性的虐待も前の年から増え431件でした。

児童虐待の疑いがあるなどとして、警察から児童相談所に通告した児童数は約12万人に上っています。

▼DV・ストーカー

配偶者からの暴力などについての相談件数は増加していて、2024年は9万4937件で、DV防止法が施行された2001年以降で最多となりました。

また、ストーカー規制法違反での検挙件数は、1338件に上り、2015年以降で最多となっています。

警察庁が去年10月に5000人に行ったアンケートでは、8割近くが日本の治安について「悪くなった」と回答し、この回答が2年連続で増えていることから、国民の体感治安が悪化していることが分かりました。

警察庁は「日本の犯罪情勢は厳しい状況にある。匿名・流動型犯罪グループの実態解明や、児童虐待については、児童相談所や関係省庁などとしっかり連携していきたい」としています。

フジテレビ
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社会部
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