歴史的な不漁が続くスルメイカ。水産庁が4日、漁業関係者などに示したのは、漁獲枠を大幅に減らす案だ。急激な価格の上昇はないとみられているが、減り続けるスルメイカに「白身魚の高級魚と同じくらいになっちゃうのでは」と都内の寿司店から懸念の声が聞かれた。長く親しまれてきた“庶民の味”スルメイカが、今後は食卓から遠のく日々が続きそうだ。

不漁続くスルメイカ…苦境の居酒屋

全国的な不漁続きで、今や高級品となったスルメイカだが、2025年度の漁獲枠を7割減らす案が4日に水産庁から示された。

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「イット!」が訪ねたのは、いけすでイカ釣りを楽しめる東京都内の居酒屋「上野イカセンター」。この日、入荷したスルメイカは44杯だった。

以前、スルメイカの代わりにアオリイカを入れるといけすが真っ黒に…
以前、スルメイカの代わりにアオリイカを入れるといけすが真っ黒に…

以前は、スルメイカの入荷がなく代わりにアオリイカを入れたところ、いけすが真っ黒になってしまい、イカ釣りは中止となっていた。

今も、いつスルメイカが入荷するか分からない状況が続いているという。

上野イカセンター 桑原大樹さん:
スルメイカが来ると今日決まったのも、昨日とか一昨日とかになる。アオリイカでしたりヤリイカでしたり、九州の剣先イカも仕入れているので、イカセンターなのでイカだけは切らさないように。

人気のイカ釣りも、ヤリイカで対応するなどして続けていくとしている。

漁獲枠7割減か…スルメイカが高級品に?

深刻なスルメイカ不足の影響は寿司店でも起きていた。

銀座さいしょ 税所伸彦店主:
昔は絶対量10だったとすれば、今は2とか3しかないんですよ。今日なんか(天気が)大荒れじゃないですか、なのもあって(市場で)スルメイカを売っている仲買さんのお店が1軒もなかったんですよ、今日。

今後、値段はどうなってしまうのか。

水産庁が4日、漁業関係者などに示したのは、スルメイカの漁獲枠を大幅に減らす案だ。2024年度の漁獲枠は、7万9200トン。それが2025年度は、過去最少の1万9200トンと実に7割減となるという。

一方、2023年度にとれた量は約1万6000トンで、漁獲枠の方が大きくなっていて、急激な価格の上昇はないとみられているが、減り続けるスルメイカに都内の寿司店から聞こえてきたのは懸念の声だ。

銀座さいしょ 税所伸彦店主:
白身魚の高級魚でタイとかヒラメとかシマアジとかになるんですけど、それの高いレベルのランクのものと同じになっちゃうんじゃないですかね。

値上がりはスルメイカを原料とした「あたりめ」でも起きている。

丸安商店 深沢和彦代表:
極端に言っちゃえば(コロナ禍前の)倍ですよね。これで当時700~800円、それで今こういう価格。これでも最低の値段です、1500円というのは。これからもどんどん上がる一方です。スルメはとれないので。

「あたりめ」などの加工品にまで回ってこないのが現状だという。“庶民の味”スルメイカ。今後は食卓から遠のく日々が続きそうだ。
(「イット!」2月4日放送より)

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