群馬・高崎市が、市内の小学校全58校で開門時間を午前7時に前倒しする取り組みを始めます。共働き世帯などへの支援が目的ですが、教職員を対象にしたアンケートでは99%が反対と回答。子どもを見守る大人がいない時間が発生するなど、安全性への懸念が背景にあるといいます。

保護者から歓迎の声も、教職員99%が反対

4月に入りまもなく新学期が始まる中、小学校の開門時間をめぐってある問題が起きている。

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「午前7時開門への前倒しに教職員の99%が反対」について見ていく。学校で働くほとんどの職員が反対しているとは、どういうことなのか。

安宅晃樹キャスター:
問題が起きているのは、群馬県高崎市にある市内の小学校全58校です。ここで開門時間を午前7時に前倒しします。これは早朝から出勤しなければいけない共働き世帯や、一人親世帯への支援として行い、もともとは子どもを家に一人で置いて出かけられない。そういった保護者の声があって始まる制度ということです。

榎並大二郎キャスター:
確かに開門まで待っている小学生もいるという話も聞きます。遠藤さんは、お子さん小学生?

遠藤玲子キャスター:
私もやむを得ず子どもを置いて先に出社しなければいけないことがありましたが、そういうときも本当にあらゆる手を使っていろんな人の助けを得ながら、最悪自分の携帯で遠隔でビデオ通話しながら子どもたちを見守ることもありました。

安宅キャスター:
小1の壁とも言われますが、実際に高崎市で今子どもを育てている子育て世帯はどのように感じているのでしょうか。実際に街で声を聞いてみました。

母(子・小6):
今のところは(朝7時開門)使わないけど、パートに出たりとかすればありがたい。

取材班:
朝の30、40分って大きいですか?

母(子・小6):
大きいです!すごく!

母(子・小2):
結構早い時間帯から門が開くのを待ってる子がいるので、ありがたい家庭がいっぱいあると思います。

取材班:
需要がある?

母(子・小2):
と思いますね。7時に開いたら早く行きたい?

子ども(小2):
うん!本を読む!

母(子・小5・小2):
「先生がそこの時間にいるわけではない」みたいなので、もし問題が起きたときに誰がどういうふうに責任をとるのか。私は学校の先生が許可して、賛成して7時開門になったのかなって思っていた。

安宅キャスター:
保護者の皆さんからは、やはり助かるとか朝の30、40分はやっぱり大きいなどの前向きな声もありましたが、一方で、先生がそこにいないのでどう責任をという声も聞かれました。
実はここがポイントで、この支援には“先生がいない”というところです。

山﨑夕貴キャスター:
ちょっと印象が変わってきますが、先生がいないとやはり大丈夫なのかなと思いますね。

安宅キャスター:
市の教育委員会によりますと、朝7時に門を開けるというのは公務員、いわゆる学校の施設管理、設備管理などをする公務員が開ける、つまりは子どもたちを見守る大人がいないという時間が生まれてしまうわけです。これを問題視したのが、現場で働く先生方です。市内の教育現場で働く先生や公務員など約3200人を対象にしたアンケートでは、1240人余りから回答がありましたが、そのうち実に99%が反対という結果になりました。現場でどんな声が上がっているのか、実際に教職員組合を取材しました。

全群馬教職員組合・髙橋航平書記長:
この制度設計のままでは、子どもが来たときの安全が全く保障されていないところが制度の問題点。子どもの安全を確保できるルールを(市が)きちんと整備してくださいと。

安宅キャスター
やはり反対する立場の人たちから上がったのは、子どもたちの安全確保がきちんとできるのかという不安の声でしたが、榎並さんどう思いますか。

榎並キャスター:
本当に防犯・防災の面での体制・対策が十分なのかなと思ってしまいますし、いざ先生たちがいないと言いますが、責任感で自主的に出てきてしまうことも出てくるんじゃないかなと思います。

三宅正治キャスター:
それでなくても教員の皆さんが忙しすぎるという話があって、勤務時間の問題がありました。前倒しして出てくればいいじゃないと簡単に言ってしまう問題でもないと思います。市はどう考えているかですよね。

安宅キャスター:
その辺り取材しましたが、教育委員会はあくまで教員には早朝勤務を求めていない姿勢だと言いますが。

品川区では見守り2人体制も、専門家「不十分」

遠藤キャスター:
親としてはこれ以上先生たちに負担はかけたくないという思いはある一方で、でも子どもたちが安心、安全にそこでいられるかというのが気になりますし、取り組みとしては良いだけに、何か良い案はないのかなとは思います。

安宅キャスター:
開門を早める動きというのは全国で、あるはあるんですね。例えば、東京の品川区の一部で始まっています。品川区の24校で今実施されていますが、ここではきちんと子どもを見守る人が2人体制で組まれています。やはり学校の先生が見守るということは難しいので、シルバー人材センターから派遣するとか、民間に託してしまう。こういった方法で見守りを確保しているということです。

三宅キャスター:
こういう前例があるなら高崎市でもやってみたらいいと思います。

安宅キャスター:
その点について、高崎市の教育委員会はこのように言っています。開門の前倒しについて「これまでも公務員が開門を早めることがあり、登校した児童は教室で思い思いに過ごしている。今回の取り組みにおいても、現在の朝の過ごし方と同じです」と回答しています。

山﨑キャスター:
あまり考えたくないですが、実際に何かあった場合はどう対応するか決めているんですかね。

安宅キャスター:
その辺りについても伺ってみました。高崎市の教育委員会としては「何かあった場合は緊急の場合には公務員が管理職に連絡し、指示に基づいて対応することにしている」と、回答がありました。
専門家はどう見ているのか、日本こどもの安全教育総合研究所の宮田美恵子理事長にお話を伺いました。

宮田さんによりますと「子どもたちの安全確保はこれでは不十分。何かあったとき責任の所在も不明瞭になるのではないか」と、指摘されていました。子育て世帯などの要望を受けた上で、先進的な取り組みではある一方、もちろん助かる人もいると思います。ただ現在の説明では先生方の理解が得られていないと、そのような状況ではないかということが分かりました。

現場は99%反対と、その溝をまず埋めていく必要がある。より良い形を模索していくことが望まれています。
(「イット!」4月2日放送より)

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