茨城・利根町に1989年に建設されたキノコ工場が閉鎖から現在まで30年以上も放置され、廃墟となっている。

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建物内では不審火による火災が起きたり、アスベストが検出されて健康被害も心配される状況となっている。住民からは「悪い子たちの溜まり場になったりしないのかな」といった声が聞かれ、不安が高まっていた。そして2024年8月、住民ら157人が工場の早期解体などを求める「請願書」を町議会に提出し、町は工場を解体することを決定。2月1日に住民説明会を開くとしている。

廃墟のキノコ工場で小学生が「かくれんぼとか鬼ごっことか…」

フェンスで遮られた敷地内に放置された巨大な廃墟の外壁には草木が絡みつき、焼け焦げた跡もある。

敷地内にある車も雨ざらしの状態で置き去られていた
敷地内にある車も雨ざらしの状態で置き去られていた

敷地内にある車も雨ざらしの状態で置き去られていた。

住民からは、「小学生の子どもとか結構出入りしてる。中でかくれんぼとか鬼ごっことかしている…危ないというか嫌ですよね」「悪い子たちのたまり場になったりしないのかなって…」と不安の声も聞かれる。

この“廃墟”は、茨城・利根町の一軒家が建ち並ぶ住宅街を進み、木々が生い茂る路地を抜けたその先にあった。

一体、何の建物だったのか?

住民に話を聞くと、「前はマッシュルーム工場。キノコ工場だったって聞いた」「もう(自分が)来たときは廃屋だから。キノコの栽培してたみたい、それがポシャっちゃって」とのこと。

ここはかつて「キノコ工場」だった建物で、1989年に利根町が国の補助金などで建設したが、わずか4年で稼働を停止。

以来、30年以上に渡り放置されたままだという。

周りには木が生い茂っていて、建物の壁にもツタが茂っている
周りには木が生い茂っていて、建物の壁にもツタが茂っている

周りには木が生い茂っていて、建物の壁にもツタが茂っている。

工場の内部は壁が崩れ、壊れた建具などが散乱
工場の内部は壁が崩れ、壊れた建具などが散乱

工場の内部は壁が崩れ、壊れた建具などが散乱していた。

建設費用は総額約1億4400万円

この工場の建設費用はいくらなのか?

国が約9500万円と茨城県が約3675万円、そして利根町が出した補助金約1225万円で全てまかなわれ、その総額は約1億4400万円にのぼる。

ーー税金1億円以上で建設された。
住民:
え~そうなんですか、全然知らなかった。

住民:
お金ない町なのにそんなのに使っちゃって、もったいないなと思う。

工場の稼働停止後、一度は個人に売却されたが、1996年に利根町が約4116万円で再び購入し、工場は町の所有となった。

その後、町は工場の借り手を募集し続けたが、2024年、「キクラゲ工場」として申し込んだ企業が辞退を表明するなど、借り手が現れず、放置された工場では、不審火による火災が2度発生するなど、住民の不安も高まっていた。

さらに町が調査した結果、工場の壊れた壁などからアスベストが検出されると住民からは、「早く取り壊してほしいなっていう感じ」「やっぱりあれは壊すしかないでしょうね…」と、工場の取り壊しを求める声が相次いだ。

町に請願書を出した住民:
とにかく汚かったんですね。ゴミが飛んでくるわ、臭いしね。
国民の税金がこんな訳の分からないことに使われている。

住民らが「請願書」を町議会に提出し、解体が決定

2024年8月、住民ら157人は工場の早期解体などを求める「請願書」を、町議会に提出した。

町に請願書を出した住民:
水田の中に突如、こんな変な、風景を壊している不快な建物を放置するということは、利根町のこの美しい自然と農村の姿を破壊している。
そういうことすら行政は分からないというのは非常に情けない。

住民らの求めを受け1月23日、利根町は工場を解体することを決定。2月1日に住民説明会を開くとしている。解体の時期や予算などについては、今後検討するという。
(「イット!」 1月30日放送)

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