熊本県は半導体関連工場の排水を適切に処理するため、セミコンテクノパーク周辺の菊陽町と合志市にまたがる土地に新たな下水処理施設を整備する方針で、住民説明会を開き建設予定地などを示した。また、木村熊本県知事は1月28日に合志市で開いた『お出かけ知事室』の中で、新たな施設について「企業排水に特化した下水処理施設を整備したい」とした。

合志市と菊陽町にまたがる11.5ヘクタール

新しい下水処理施設が検討されているのは、県道大津西合志線の北側、合志市福原と菊陽町原水にまたがる約11.5ヘクタール。

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セミコンテクノパーク周辺では、台湾の半導体製造大手TSMCをはじめ、半導体関連企業の集積が進んでいる。

こうした状況により、現在、セミコンテクノパーク周辺の排水を処理している熊本北部浄化センターだけでは、処理できなくなる恐れがあるとして、熊本県は新しい下水処理施設の整備を検討。1月26日は菊陽町で住民説明会を開き、新しい下水処理施設の予定地など整備案を示した。

新しい施設は1日当たり2万3000トンの処理能力を想定していて、案では建設が計画されているTSMCの第2工場とソニーグループの新工場の排水を処理。処理された水は熊本市北区弓削で国の排水基準に沿って白川へ放流する方針だ。

参加した住民からは「予定地は畜産農家が多い。代替地などどう対応するのか」や「下水処理施設ができることで地価が上がることはない」といった声が上がった。

説明会後に参加した住民に話を聞くと「寝耳に水というか、初めて聞いた。今度できる下水処理場近くにも(畑が)あるから…」や「地下水の水量も汚染も心配。全体は景気のいい話だが、私たちは農業がこれからどうなるか心配」と不安な様子だった。

熊本県は、1月28日までに合志市や熊本市でも住民説明会を開催し、3カ所で計100人が参加。2024年3月までに都市計画決定を目指している。

「企業排水をより重点的に特化して処理」

また、1月28日夜に合志市で開かれた『お出かけ知事室』でも、新たな下水処理施設について木村知事と参加者が意見を交わした。

参加者からは「一般の排水処理を踏襲するということで、(規制外の)化学物質への対応はないので、せっかく新しいものを造るのに対応しないのは、どうか?」と質問。

木村知事は「セミコンパーク近くに造る『特定公共下水道』は、一般排水を入れず企業からの排水のみにするので、その分、より重点的に特化して処理しないと意味がない。これから詳細設計を進めるのでそこで議論したい」と述べた。

(テレビ熊本)

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