長崎初のアイスショー「プリンスアイスワールド」が開催された。高橋大輔や荒川静香といったトップスケーターも出演し、ダイナミックかつムーディーに舞う氷上の世界に1万4000人が酔いしれた。
バスケットボール会場がアイスリンクに
長崎スタジアムシティ「ハピネスアリーナ」に、期待に胸を膨らませた観客たちが続々と集まってきた。

1月18日、19日に長崎で初めて開催された「プリンスアイスワールド」。全国から集結したプロスケーター25人で構成されている。プログラムの合間に8人のトップスケーターが華麗な演技を披露するとあって、地元の人々は大きな期待を寄せていた。

会場は、普段は長崎ヴェルカの試合などが行われているアリーナだ。1000平方メートルのアイスリンクは13日から5日ほどかけて作られた。
氷上の華麗なる舞に酔いしれる
会場に入るとひんやりした空気が漂う。長崎では味わうことのない氷の世界に胸が高鳴る。ついに幕が開き、スケーターたちの華麗な演技が始まると、会場は歓声に包まれた。

プリンスアイスワールドは1978年に始まり、日本で最も歴史のあるアイスショーだ。2024年で45周年を迎える今回はブロードウェイミュージカルの名曲をふんだんに盛り込んだダイナミックでドラマチックなショーが展開される。

プログラムの合間には名だたるゲストスケーターが演技を披露。長崎を訪れたゲストスケーターは荒川静香さん、宇野昌磨さん、織田信成さん、田中刑事さん、本田真凜さん、高橋大輔さん・村元哉中さんペア、中田璃士さんの8人。圧巻のパフォーマンスで会場の視線をくぎ付けにした。

バンクーバーオリンピックに出場した織田信成さんは日本の昔話『桃太郎』のコスチュームで登場。観客と触れ合う場面やコミカルな演技に会場は一つになった。

2020年からアイスダンスでチームを組む高橋大輔さんと村元哉中さんは息ぴったりの滑りを展開。白と黒の衣装に身を包み、大人のムード漂う雰囲気に酔いしれた。

金メダリスト荒川静香さんは最後にイナバウアーを披露。会場が待ちに待った瞬間だった。

ラストは2024年で現役を引退した宇野昌磨さん。高いジャンプとスピードに観客は釘付けだった。
生でアイスショーを見るのは初めての経験という人も多く「テレビで見るのとは迫力が全然違う」「さすがプロだと思う。表現力が圧巻だった」という声が聞かれた。

公演が終了するとスケーターたちはグループでリンクを回り写真タイム。ファンたちは興奮を隠せない様子だった。
完璧なフォーメーションで臨場感たっぷり
高橋大輔さんは以前テレビ番組の取材で「アイスショーはお客さん目線で滑っている」と語っていた。

高橋大輔さん:アイスショーは照明があるので、より一層世界観を作り出せる。ルールがないから何でも自由に表現できる。観客との距離が近く、かなり目の前で滑るので、僕たちが滑った後の風も感じることができる。プリンスアイスワールドチームはショーのために1カ月かけて稽古をしている。完璧なフォーメーションを見てほしい。

アップテンポな曲では手拍子を取りながら会場が一体となり、ムーディーな曲ではスケーターの表現力に魅了される。圧巻だったのは完璧なフォーメーションだ。乱れることなく氷上でスピード感を維持しながらリンク全体で演技を繰り広げ、指先までの表現力にうっとりし、氷を蹴る音が聞こえたりと、臨場感たっぷりの時間が過ぎていった。

長崎公演が決まってから宣伝のために長崎に足を運んできた高橋さん。公演を終えて「すごくたくさんのお客さんに来ていただいて、楽しんでいただいている空気感が伝わってきたので、僕たちも本当に楽しく滑ることができて幸せだった」と長崎の観客との一体感を感じられたことを喜んだ。2025年に挑戦したいことは「バックフリップ(後方宙返り)」と話した。

初めて長崎を訪れたという宇野昌磨さんは「たくさんの人が会場に足を運んでくださり、そしてすごく温かく迎えてくださった」と、長崎公演を振り返った。

アリーナの光の演出がスケーターの演技を一層盛り上げた。

2日間、4公演の長崎初のプリンスアイスワールドは1万4000人が訪れ、4回目の公演は立ち見が出るほどの人気で幕を閉じた。
(テレビ長崎)