長野市の清泉女学院大学が一部学部の一般入試を直前で中止したことが明らかになり、波紋が広がっている。受験生の保護者からは「娘はパニックになった。大人の都合に子どもが振り回された」との批判の声が上がっている。大学側は「早期に定員に達した」と説明しているが、文部科学省は報告を求めるなど事態を重く見ている。

「娘はパニック状態」と保護者

NBSの電話取材に応じた県内在住の40代女性は、娘の第一志望だった清泉女学院大学の人文社会科学部が一般入試の募集を取りやめたことについて、「(娘は)私と同じく本当に頭が真っ白になり、これから本当にどうしたらいいんだろうと、本当にパニックというか、そんな状態でした」と語った。

清泉女学院大学(長野市)
清泉女学院大学(長野市)
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この保護者によると、娘は12月21日に人文社会科学部の総合型選抜(AO方式)を受験したが不合格となり、次に一般入試での受験を考えていたという。しかし、すでに同学部の一般選抜試験は取りやめられていた。

保護者は「大人の都合に本当に子どもが振り回されたというか、犠牲になったというか、そういう感じ」と不満を表明。

清泉女学院大学(長野市)
清泉女学院大学(長野市)

さらに、同日に同じ学部学科の総合型選抜を受けた全員が不合格となったことから、「すでに定員に達していたのでは」と不信感を募らせている。

大学側「早期に定員に達した」

人文社会科学部は2025年4月から新設される学部で、一般入試は1月6日から出願を受け付け、31日に試験が行われる予定だった。しかし、大学は12月23日、ホームページで「募集は終了しました」と一般入試の取りやめを発表した。

清泉女学院大学のHP
清泉女学院大学のHP

清泉女学院大学の小池英男事務局長は「昨年度、すべての学部で定員割れだったことから、募集に力を入れた結果、去年のうちに早期に定員に達した」と説明。

清泉女学院大学・小池英男事務局長
清泉女学院大学・小池英男事務局長

さらに「優秀な学生が年内入試で受験してもらい、本学の予定していた数に達したため、やむなく年内入試までで、年明け入試を取りやめた。本学を希望していた受験生に対してご迷惑をかけたことは深くおわび申し上げる」と述べた。

文科相「誠に遺憾」

一方、文部科学省はこの措置を問題視し、大学に報告を求めている。

阿部俊子文科相は「社会からの大学入学者選抜に対する信頼を損なわせかねず、誠に遺憾」とコメントした。

阿部俊子文科相
阿部俊子文科相

大学側は今週中に報告に行くとしている。

「第一に子どものことを」

保護者は、娘が高校のサポートを受けて次の目標に向けて受験勉強を励んでいると述べた上で、大学に対して「教育機関として子どもを預かる場所。学校の存続とかの前に、第一に子どものことを考える学校であってほしいと思う」と要望した。

(長野放送)

長野放送
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