16日、パレスチナ・ガザ地区で戦闘を続けるイスラエルとイスラム組織ハマスが、段階的な停戦と人質解放に合意したと発表した。正式に合意が履行され、恒久的な和平につながるかが焦点となっているが、1月19日から始まるイスラエルとハマスの停戦について、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。

トランプ氏の存在は“大きい”…停戦合意への影響は?

青井キャスター:
停戦が始まるのは1月19日(日)で、20日(月)のトランプ氏大統領就任の前日ということになりました。今回の「停戦合意」は、トランプ氏を意識したものなのでしょうか?

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フジテレビ・立石修解説委員室長:
そう思います。イスラエルのネタニヤフ首相は、今回の停戦合意を受けて、まず最初にトランプ氏に電話して感謝を伝えています。その後がバイデン大統領で、通話時間も短かったようです。やはりネタニヤフ首相にとって、トランプ氏の存在は大きいようです。

これまで協議を続けたのはバイデン大統領ですが、ネタニヤフ首相との間では意見の衝突も度々見られました。ですが、今回の停戦協議では仲介国のカタールにトランプ氏が指名した次期政権の中東担当特使も参加していて、この結果としてこれまで難航していた合意が成立しました。

SPキャスターパックン:
トランプ氏の協力もありましたが、ずっと軍事支援と外交上の努力をしてきたのはバイデン氏です。なぜ先にトランプ氏に電話したかというと、トランプ氏はこういうのをすごく気にするんですよ。前回の大統領選挙に勝ったバイデン氏にネタニヤフ氏がおめでとうの電話を入れただけでも、ずっと根に持っていたらしいですね。トランプ氏を立てた方がこの先、外交上都合がいいと判断されたんじゃないですか。

青井キャスター:
ただ、トランプ氏はまだ就任前なんですけども、それでも重要ですか?

嘆きの壁で祈りを捧げるトランプ氏
嘆きの壁で祈りを捧げるトランプ氏

立石解説委員室長:
トランプ氏が熱烈なイスラエル支持者ということも、イスラエルにとって大きな影響があると思います。第1次政権でトランプ氏はイスラエルなどを訪問していますが、その際ユダヤ教の男性が着用するキッパという黒い帽子をかぶって、エルサレムの旧市街にある嘆きの壁で祈りを捧げています。

ホワイトハウスを訪問するネタニヤフ首相
ホワイトハウスを訪問するネタニヤフ首相

立石解説委員室長:
また、アメリカにネタニヤフ首相が訪問した際も、ホワイトハウスでは首相たちのみならず、夫人も交えて非常に仲睦まじい様子が撮影されています。このような関係性を考えますと、ネタニヤフ首相はトランプ氏が大統領でいる以上は、中東で何が起きても安心である、強力なバックアップを得られるという安堵感があるのだと思います。

第一段階は“女性・高齢者”の解放

青井キャスター:
トランプ氏にとっては、ネタニヤフ首相の強力な後ろ盾があることになるわけです。ハマスにとっても、トランプ氏の影響は大きいでしょうか。

立石解説委員室長:
ハマスにとっては逆に脅威ですよね。トランプ氏は年明けにSNSでハマスに対して、もし自分の就任式までに人質を返さなければ「地獄を見るぞ」と、強烈な一言を浴びせています。ハマスは大きなプレッシャーを感じていると思います。

青井キャスター:
合意は3段階になっていますが、今は第1段階の入り口と言ってもいいですよね。

立石解説委員室長:
そうですね。まずはこれが正式に履行されるかが注目ですね。

青井キャスター:
19日までまだまだ時間があるわけですから、戦闘が続く恐れもあるわけですし、そもそも19日に本当に合意が履行されるのかどうかも注目です。

今回の一時的な停戦が、今後の恒久的な停戦につながってほしい。
(「イット!」1月16日放送より)

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