2024年の厳しい残暑などの影響で、キャベツの価格が高騰している。スーパーではひと玉500円を超えていて、付け合わせのキャベツを食べ放題で提供するとんかつ店からは悲鳴が聞こえている。スーパーととんかつ店を取材した。
キャベツ ひと玉500円超に…
愛知県産のキャベツが並んでいた新潟県三条市のスーパーマルセンでは、キャベツひと玉、税込み537円で販売されていた。

太田雅悠専務は「価格が500円を超えるような異常値になったのが、12月中旬から下旬にかけて。例年に比べると200~250%くらい価格として高い状態」と話す。
高騰の要因は、キャベツが作付けされる2024年の秋に残暑が厳しかったことに加え、その後の小雨も重なり、全体の出荷量が減っているためだという。
「取引先の市場の報告では出荷量は70%、去年と比べて3割減で推移している」
“2分の1カット”が人気に「せめて半分だけでも」
一方で、買い物客は2分の1にカットされた商品を手にしていた。

買い物客からは「すごく急に高くなってびっくりしている。ひと玉買うと高い…せめて半分だけでもと思って買った」「普段よりも高くてびっくり。でも、どうしても焼きそばにしたいので必要」などの声が聞かれ、売り場では2分の1カットのキャベツが次々に補充されていた。
また、サラダや炒め物に重宝する袋入りのカットキャベツの価格は横ばいで、客のニーズを捉えているという。

出荷量自体が減っているキャベツ。この先、春キャベツの出荷が待たれるが、その後も価格が安定するかどうか見通せないという。
太田専務は「いっぱい出荷されたからといって値段が下がる見通しができない状態。我々もポジティブな印象を持てないままでいる」と語った。
“おかわり自由”も…価格高騰で経費は約4倍に
一方で、キャベツの高騰に頭を抱えているのが、キャベツが欠かせない飲食店だ。
新発田市にある『とんかつとんき新発田店』の高橋正紀店主は「結構高いこともあるが、こんなに高いことは初めて」と話す。

とんかつの定食などを提供するこちらの店では、本店の創業以来、約85年間キャベツのおかわり無料を貫いてきた。
そのため、一日に使うキャベツは10玉以上にのぼり、季節ごとに産地を変えるなど、メインのとんかつと同じようにその素材や仕込みにこだわっている。
高橋店主は「きょうもお客さんが、“どうしてここのキャベツはふんわりするの”と。よく聞かれる。家では食べられないが、ここに来ると食べられるというお客さんも多い。キャベツは、とにかくおいしくないといけないので」

しかし、キャベツの経費は2024年の10月ごろと比べて4倍ほどに上昇。電気代の節約など、できるかぎり別の部分で経費を抑える努力をしているという。
厳しい日々は続くが、それでもキャベツの“おかわり自由”は今後も続けていく考えだ。
「キャベツととんかつは合うようにできている。お客さんの要望もあるので、おかわりしたいという人にはおかわりできるようにずっと続けている。ちょっと高いのを我慢するしかない。もうちょっとすれば平年並みに戻ると思う」と高橋店主は話す。
もうしばらく店側の努力の日々が続きそうだ。
(NST新潟総合テレビ)