2025年は終戦80年、被爆地にとっては被爆80年となる。広島の平和公園では大晦日から元日に被爆ピアノの年越しコンサートが行われ、被爆80年を印象づける幕開けとなった。また、核軍縮の専門家は被団協のノーベル賞受賞で80年の意味が深まったと解説する。
7台の被爆ピアノを修復 記憶の象徴に
元日の原爆ドーム前で奏でられていたのは、80年前に熱線を浴びた「被爆ピアノ」。

被爆80年の始まりに合わせ、被爆ピアノの演奏を企画したのは調律師の矢川光則さん。

被爆ピアノを修復、再生し、記憶をつなぐ活動をしている。

矢川さんは、7台の被爆ピアノを修復、広島から国内だけでなく、海外までピアノを運び、コンサートを通じて平和を訴える活動を続ける。

矢川さんは被爆ピアノについて「人間のように話はできないが、音色で伝えてくれるのではないかと思う」と語る。

その矢川さんが、被爆80年の始まりに合わせ企画したのが、大晦日から元日にかけ、平和公園の4カ所で被爆ピアノの音色を通し慰霊をすることだった。奏でるのはピアニストのジェイコブ・コーラーさんだ。

矢川さんは「被爆の記憶を後世にどうやって伝えていくかが、大きな課題。今の若い人たちがそういう意識をもつきっかけづくりになれば」と企画意図を語る。
ノーベル賞で日本の核禁条約オブザーバー参加にはずみ
被爆80年について広島大学平和センターの川野徳幸センター長は「日本被団協のノーベル賞受賞で、次に何をすべきかを真剣に考えなければならない」とその意味の重さを強調。

そのうえで、「これまで日本政府が積極的ではなかった核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加が話の俎上(そじょう)にのるようになり、条約への向き合いを政府にどのように求めていくかを考えることが必要」と語る。
ウクライナやガザでの戦争が続く中、アメリカでは政権交代があり、国際情勢は混沌とした状況が続くが、日本被団協のノーベル賞受賞で終戦・被爆80年の節目に核軍縮、核兵器廃絶の訴えは世界で重みを増している。
(テレビ新広島)