2025年初回の「BSフジLIVE プライムニュース」では、自民党から石破茂首相、立憲民主党から野田佳彦代表、国民民主党から玉木雄一郎氏をそれぞれスタジオに迎えた。政権の重点政策、通常国会での与野党攻防のポイント、参院選をはじめとする2025年の選挙などについて掘り下げた。
石破首相「訪米はトランプ氏が大統領に就任してから」
竹俣紅キャスター:
1月20日にアメリカ大統領に就任するトランプ氏との会談について石破総理は「現在まだ確定していない、最もふさわしい時期にふさわしい形で実現するよう調整している」と述べた。
石破茂 首相:
やはり大統領に就任されてからの方が、向こうも責任ある立場としてご発言しやすいだろう。そのときの方が日本としての考えも言える状況になると思う。
反町理キャスター:
だが日米同盟は基軸。後回しにすればするほどワシントンの対日感覚に曇りが出てくる心配はないか。
石破茂 首相:
それはないと思う。早く行くに越したことはないが、例えば朝鮮半島、ウクライナ、中東の情勢は全て連動している。またUSスチールの件(日本製鉄による買収にバイデン大統領が禁止命令を出したこと)についても安全保障という言葉が出てきた。外交・安全保障・経済は全て連動している。後回しにするというのではなく、言うべきことはきちんと戦略を練った上で言わなければ。
反町理キャスター:
なるほど。
石破茂 首相:
USスチールの件について、我々としては理解しがたいところがある。USスチールの経営をさらに改善し、雇用を守り、株主利益を守ると言っているにもかかわらず安全保障の問題でダメだと。バイデン政権で決めたことだからトランプ政権になってもう1回ひっくり返して、という話にはならないのだが、一体何を考えているのかということは我々としてもきちんと分析する。
反町理キャスター:
日米首脳会談の前に、人脈のある麻生太郎最高顧問や茂木敏充前幹事長に特使として行ってもらうことはあるか。
石破茂 首相:
日本のために働きたいと思っている経験豊かな方々。知恵、経験、人脈を最大限に生かすのが日本のため。私がお願いして行っていただくことも十分ある。
反町理キャスター:
USスチールに関して日米間の投資への懸念が上がっていると石破さんは述べた。かなりきつい言い方。だがこの話は大統領選の票目当ての話だから選挙が終われば鎮火するという人もいた。なぜ続いているか。
石破茂 首相:
本当にわからない。労働者も株主も皆歓迎していることをなぜひっくり返すか。それは多分、それを超えた力があの国にはあるから。アメリカの動きを冷静に分析しなければ。経済だけではなく、外交・安全保障もそうなのかもしれない。またEU、ASEANの国々、どの国とどう連携してアメリカを巻き込む形で世界の平和を築き経済を運営していくか。単に日本とアメリカの2国間関係だけではない。
石破首相が打ち出した“楽しい日本”の真意とは
竹俣紅キャスター:
石破総理は「『楽しい日本』を国民とともに作り上げていきたい」と表明。「『令和の日本列島改造』と位置づけ、『地方創生2.0』を強力に推し進めていく。一極集中を見直し、多様性を未来への力としていく」と述べた。この意味は。
石破茂 首相:
昭和の日本列島改造は53年前の田中角栄先生のとき、高度経済成長期の最中だった。日本中に新幹線や高速道路を通そうというハードな改造。今後は人口急減の局面に入り高度経済成長も望めないなら、ソフトな意味で国のあり方を変えていくことが大事。全国47都道府県の1718市町村、そこにいて楽しいと感じ自分の存在を実感するためにソフトの部分が重要。AIはそれを可能にしていく。そしてクリーンなエネルギーを用いること。
反町理キャスター:
例えば103万円の壁や教育費の無償化の話をしている中、幸せに楽しく暮らそうというのはぼんやりした印象を受ける人も多いのでは。国の形について一つのビジョンを打ち上げたという理解でいいか。
石破茂 首相:
それで結構だと思っている。とにかく出生数の減り方が尋常ではない。それは結婚する数、率が減ったから。なぜ地域に若い人たちが根付かないのか。有効求人倍率が高く、食べ物も美味しく、景色もきれいで人情も豊かなら、なぜどんどん人が減るのか。それはやっぱり楽しさの問題。もちろん所得もきちんと確保した上で、それだけではないということ。それを進める環境は整いつつあると思う。
立憲はいつ伝家の宝刀「内閣不信任案」を抜くのか
竹俣紅キャスター:
通常国会で審議される来年度予算案の総額は約115.5兆円で、当初予算案としては過去最大。歳入は過去最高の約78.4兆円を見込み、新規国債発行額は約28.6兆円で4年連続減少の見通し。野田代表はどう評価するか。
野田佳彦 立憲民主党代表:
賢い支出が本当に盛り込まれているか、チェックしがいのある予算だと思っている。納税者の視点から厳しくチェックしたい。
反町理キャスター:
国民民主の103万円の壁、維新の教育無償化などの要求をどう見るか。
野田佳彦 立憲民主党代表:
各党の存在感をワンポイントイシューの実現にかけていることはよくわかる。各政党の持ち味。ただ我々は野党第一党で、政権を狙う立場においては政権を取ったときにどういう予算を組むのか常に考えていかなければ。税収に見合う形で、国債発行をなるべく抑えてどう賢い支出をするか。
反町理キャスター:
党内ではもうちょっと弾力的にやればどうかという話もあるのでは。また財政に対する姿勢だけでなく、憲法、エネルギー、安全保障といった点での国家観について他の野党とも共有した上での選挙協力が重要ではないか。
野田佳彦 立憲民主党代表:
国会の中だけではなく政党の意思決定も熟議が大切。党内にいろんな立場の人がいて、金太郎飴のような集団ではないところが逆に武器だと思っている。丁寧な議論をして一つの方向性を見出し、固まっていく。そして他党との間にある壁を乗り越えまとめていくことも熟議。トータルとして熟議を意識し運営していきたい。
反町理キャスター:
内閣不信任案について。衆議院において野党の数を全部足し上げれば過半数を超えている。今までのお中元・お歳暮と言われるような不信任案とは意味が違う。どういう覚悟でどういう条件となれば出すのか。
野田佳彦 立憲民主党代表:
通常は国会の会期末に必ず出していた。だがこれは伝家の宝刀で、抜けばいいというものではない。本当に解散を決意してやる。国民も当然不信任については賛同すると確信を持って。
反町理キャスター:
出す以上は成立させなければいけない。野党がまとまらなければ、絶対に野党第一党の力量不足と言われる。一枚岩となれるタイミングで立憲が旗を振るとするなら、実質的に解散権は野党にあるのでは。
野田佳彦 立憲民主党代表:
政策活動費を全廃に追い込んだような野党の力の結集があれば、可能性は十分出てくる。また採決まで至らなくても自民の判断で総選挙を行うこともあり得る。さらに公明の動きなども含め総合的に判断することだと思う。
“103万円の壁”のあとに国民民主は何を訴えるのか
竹俣紅キャスター:
政府が12月27日に閣議決定した2025年度の税制改正大綱には、年収103万円の壁を123万円に引き上げること、19〜22歳の大学生を扶養する親などが対象の特定扶養控除を103万から150万円に引き上げることが盛り込まれ、またガソリン暫定税率廃止が明記された。玉木さんの受け止めは。
玉木雄一郎 国民民主党 衆院議員:
まだこれからだが、これは国民の皆さん、特に学生の皆さんの声のおかげ。特に特定扶養控除の水準が150万まで引き上げられたことは画期的。だが来年度予算案を見て、これは178万円まで引き上げられると思った。だが来年度予算を見て、これは178万円まで引き上げられると思った。約7兆円の減収になるが、恒久的にやってもプライマリーバランスの黒字化は3年遅れるだけ。
反町理キャスター:
玉木さんとしては、その話が整えば予算には賛成するという話か。自民からすれば、心配は予算に賛成してくれるかどうかという一点。
玉木雄一郎 国民民主党 衆院議員:
ある程度の理屈が必要。その議論を丁寧にやろうと提案したが、年末は予定が合わずに会合が流れた。年が変わり、またそのような場でしっかり議論をしていきたい。我々も闇雲に反対しようということではない。熟議の国会を実現する責任を我々も負っている。予算編成によりいろんなものが見えてきた。年末年始にいろいろ計算したが、可能性としてかなりいろんなパターンが広がった。
反町理キャスター:
この178万円の問題が決着した後に、国民民主の売りは何になるか。つまりは「ポスト『103万の壁』」。参議院選挙までこの問題で勝負できるとは思えない。次の勝負ネタはどうなるか。
玉木雄一郎 国民民主党 衆院議員:
いいご指摘。ただ、私達は小さい政党だが、単発的に思いつきで言っているわけではない。ご理解頂きたいのは、結党以来の3本柱の政策体系に基づいて組み立てているということ。経済成長して給料が上がる国にしようという1番目、自分の国は自分で守ろうと、外交・安保に加えエネルギーや食糧の自給率を高め自分の国は自分で守ろうという2番目、人づくりこそ国づくりであり教育無償化などが必要であるという3番目。そして我々は次に、就職氷河期世代への対策に取り組みたい。若い頃に保険料を十分納められなかった彼らの年金をどうするか。またその親の介護の問題をどうするか。現役世代の問題であると同時に親世代の高齢者の問題でもある。支持率が低い60代以上の世代の方々にも、ご理解を丁寧に求めたい。
「BSフジLIVEプライムニュース」1月6日放送