2024年も残りわずか、駅伝が最も熱くなる1週間がいよいよ12月30日(月)、ここ富士山から始まる。
実業団のニューイヤー、男子の箱根、そして、大学女子駅伝の頂点を決める大会がこの「富士山女子駅伝」。
学生スポーツだからこその1年間という限りがあるチーム。出場する選手にとっては、集大成の大会となる。
陸上に青春のすべてをかけてきた女子学生たちがそれぞれの思いを胸に、富士の麓を駆け抜ける。そんな彼女たちの思いを取材してきた。

≪立命館大学≫

2023年の富士山女子駅伝 涙を浮かべる立命館大学
2023年の富士山女子駅伝 涙を浮かべる立命館大学
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2023年の富士山女子駅伝で6連覇を果たした名城大学の姿を、涙を浮かべてみつめるチームがあった。

立命館大学・村松灯
立命館大学・村松灯

村松灯​:
「来年自分たちがそこに立つんだから、それを目に焼き付けて(この悔しさを)イメージするようにって」

2017年の富士山女子駅伝で5連覇を達成した立命館大学
2017年の富士山女子駅伝で5連覇を達成した立命館大学

2013年から2017年まで、この大会で5連覇を成し遂げた京都の「エンジ」立命館大学。
しかし、2018年に名城大学に敗れると、その後は名城が6連覇。
圧倒的な新女王が誕生し、その座を奪い返すことはできず、栄光の面影は年々遠ざかっているようだった。

2023年の富士山女子駅伝で4位に終わった立命館大学
2023年の富士山女子駅伝で4位に終わった立命館大学

それでも、村松の一途な思いは揺らぐことはなかった。

村松灯​:
「来年絶対自分たちが優勝するんだって思いで、また日本一を目指してやっていく」

村松灯(4年生)。3年生からキャプテンを務めるチームのエース。
彼女の「優勝」への思いは誰にも負けない。

村松灯​:
「立命館大学が富士山で優勝してるところを見たりして、陸上を続けるか迷ったときに、先輩たちのように自分も優勝してみたいと思ってここに入った」

だが、彼女が入学した年、チームが掲げた目標は「準優勝」。入学当初に思い描いた女王の姿はなく、悔しさが募った。

そして、2023年からチームのキャプテンとなって、何よりもまず変えたのはチームの意識だった。

村松灯​:
「駅伝で優勝することだけをチームの目標にして、ひたすらわき目もふらず、みんなで一つの気持ちを持ってやっていくっていうふうにしてる」

どんな強敵を前にしても、目指さなければ、絶対に優勝なんてできない。
その思いを村松は結果でも体現してみせた。

5月の関西インカレで「2冠」を達成した村松灯
5月の関西インカレで「2冠」を達成した村松灯

2023年の全日本大学女子駅伝1区で名城大を抑えてトップ通過、名城大の連続1位通過記録を32で止めると、2024年5月の関西インカレでは5000mと10000mで「2冠」を達成。
目標への道しるべを、自らの走りで示してきた。

土屋舞琴(3年):
「練習の中でもすごく自分たちを引き上げてくれた。強い先輩がいる間に、自分も強くなりたいという思いで走ってきた」

中地こころ(4年):
「みんなが灯のためにって思えるような普段の練習とか生活とか声かけであったり、灯を胴上げして終わりたいっていう思いが強い」

後輩や同僚からの絶対的な信頼とリーダーシップでチームをまとめあげてきた。
そして10月、迎えた最後の全日本大学駅伝でその思いは実を結ぶ。

村松が任されたのは前半のエース区間3区。
2位と20秒差のトップでタスキを受け取ると区間新の快走。その差を1分4秒まで広げ、独走態勢を築くと、大会新記録で実に9年ぶりの全日本大学女子駅伝優勝を成し遂げてみせた。

9年ぶりの全日本大学女子駅伝優勝をはたした立命館大学
9年ぶりの全日本大学女子駅伝優勝をはたした立命館大学

4年間、目指し続けてきた景色を手にすることができた瞬間だった。
しかし…

村松灯​:
「全日本が良くても富士山で思うように戦えなかったということが今まで3年間あるので、さらに今日より強いチームになって、絶対に(富士山女子駅伝でも)優勝をつかみとりたい」

目指すのは、駅伝2冠。
さらなる高みへ、全日本女子駅伝後の記録会では自身を含めて、4人がベストを更新。
あの日、憧れた「女王・立命」の復活へ歩みを止めない。

村松灯​:
「立命館が優勝して、憧れてここに入ってきたっていうこともあるので、今度は自分たちが後輩に見せられるようにってワクワクした気持ちでいます」

富士山女子駅伝では7年ぶりの頂点奪還に向けて、気持ちは高ぶる。

★取材アナウンサーによる編集後記★

竹下陽平(フジテレビアナウンサー)

村松灯にインタビューする竹下アナ
村松灯にインタビューする竹下アナ

1996年入社。主な仕事はスポーツ実況。富士山女子駅伝は第1回大会から担当。野球、MLB、ゴルフ、バレーボール、柔道、モータースポーツ、マラソン、駅伝、ボクシング、格闘技、体操、新体操、テニス、ラグビーなどを担当。
富士山女子駅伝ではメイン実況を担当する。

「12月、立命館大学草津キャンパスで、富士山女子駅伝に登録された11人の選手全員の話を聞いて最も印象に残ったのは、柳井綾音選手(3年)の『10月の全日本では日本一のサポートができた』という言葉だった。
あの日、柳井選手は6区を走るアンカー土屋舞琴選手(3年)の付き添いをしていた。5区を終わって先頭だった立命館大学だったが、2位の大東文化大学が19秒差に迫っていた。初めてのアンカー、19秒差の接戦、重圧に押しつぶされそうになる同級生に『舞琴なら大丈夫、この駅伝の勢いは立命館にある』と勇気づけ、背中を押した。
立命館大学は村松灯主将が作りたかった『走る選手だけではなくサポートに回った選手も全員で日本一を目指すチーム』になったことを証明する言葉だった」

注目の富士山女子駅伝は12月30日(月)朝10時に号砲が鳴らされる。

「SUZUKIスポーツスペシャル富士山女子駅伝2024」
12月30日(月)あさ9時55分
フジテレビ系列で生中継
https://www.fujitv.co.jp/sports/ekiden/fuji/

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