2024年も残りわずか、駅伝が最も熱くなる1週間がいよいよ12月30日(月)、ここ富士山から始まる。
実業団のニューイヤー、男子の箱根、そして、大学女子駅伝の頂点を決める大会がこの「富士山女子駅伝」。
学生スポーツだからこその1年間という限りがあるチーム。出場する選手にとっては、集大成の大会となる。
陸上に青春のすべてをかけてきた女子学生たちがそれぞれの思いを胸に、富士の麓を駆け抜ける。そんな彼女たちの思いを取材してきた。

≪大東文化大学≫

10月に行われた全日本大学女子駅伝で、またしても2位フィニッシュ。大会記録を上回る好走ながら、涙をのんだ大東文化大学。
これまで、全日本大学女子駅伝では9度、富士山女子駅伝では4度の準優勝。あと一歩のところで優勝に届かず、苦汁をなめてきた。

悲願の優勝へ、今回は2年生のダブルエースを擁し頂点に挑む。

パリオリンピックに沸いた2024年の夏、女子マラソンで見事6位入賞を果たした鈴木優花は大東文化大学OG。

パリ五輪女子マラソンで6位に入賞した鈴木優花は大東文化大のOG
パリ五輪女子マラソンで6位に入賞した鈴木優花は大東文化大のOG
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在学時に走った富士山女子駅伝では、1年生ながら上り坂のきついアンカー7区を担い、区間新記録で区間賞を獲得。チームのエースとして活躍してきた。

大東文化大の新エース・野田真理耶
大東文化大の新エース・野田真理耶

そんな大エース・鈴木優花を彷彿とさせる頼もしい新エースが野田真理耶(2年生)。
彼女の憧れの先輩は、もちろん鈴木優花。

2023年の富士山女子駅伝で最終7区を走る野田真理耶
2023年の富士山女子駅伝で最終7区を走る野田真理耶

2023年の富士山女子駅伝、野田真理耶は1年生ながら、鈴木優花と同じ富士山の名物区間、アンカー7区に抜擢される。
そして、初挑戦した日本学生ハーフマラソンでは優勝。

大東文化大・野田真理耶
大東文化大・野田真理耶

野田真理耶:
「挑戦心をもって、先頭の集団にくらいついて、私も鈴さんのように世界で戦えるような選手になっていきたい」

パリオリンピックでの先輩の活躍に刺激を受け、自身も「世界」への意識が自然と芽生えるようになっていた。

記録会で自己ベストを更新した野田真理耶
記録会で自己ベストを更新した野田真理耶

すると、今シーズンは5000mと10000mともに自己ベストを更新。
10月の全日本大学女子駅伝では、スタート1区で区間新記録。トップでタスキを渡してみせた。

野田真理耶:
「まずは自分でトップに立って、絶対に4年生に最後優勝を渡してあげたいなと思います」

大東文化大の留学生エース サラ・ワンジル
大東文化大の留学生エース サラ・ワンジル

そして、もう一人のエースはケニア出身の留学生ランナー、サラ・ワンジル。
日本語の勉強に熱心で、ネイルや髪のスタイリングが大好きな愛くるしい女子学生。

サラ・ワンジルの日本語ノートには「富士山」の文字が
サラ・ワンジルの日本語ノートには「富士山」の文字が

しかし、その愛くるしさとは裏腹に、走りはまさに最強。
11月に5000m15分04秒53の日本学生新記録をたたき出すと、さらにそのわずか1カ月後には15分00秒68と自身の記録をさらに塗りかえる快挙を成し遂げた。
日本学生最速のランナーになった彼女だが、まだ駅伝での優勝経験はない。

大東文化大 サラ・ワンジル
大東文化大 サラ・ワンジル

サラ・ワンジル:
「タスキをトップで渡して、優勝したいです」

野田真理耶(左)とサラ・ワンジル(右)
野田真理耶(左)とサラ・ワンジル(右)

先輩たちがなしえなかった悲願へ、2人の新エースがリベンジを誓う。

★取材アナウンサーによる編集後記★

松﨑涼佳(フジテレビアナウンサー)

2022年入社。スポーツニュース番組、「すぽると!」、「ぽかぽか」 などを担当。早稲田大学在学時は競走部に学生トレーナーとして所属。富士山女子駅伝ではインタビューを担当する。

「全日本では悔しい準優勝となった大東文化大学ですが、一方でひとりひとりが着実に力をつけてきているのもまた事実。そんなチームをまとめるのが異例の2年連続キャプテンを務める四元桃奈選手です。
留学生エースのサラ選手からは“ももな”と呼ばれ慕われる優しい笑顔の4年生。3年生の時にキャプテンを任された実力者ですが、今シーズンは悔しい思いをしてきたといいます。
そんな四元選手にとって、パリ五輪での鈴木選手の活躍は『言葉に表せないほどの衝撃』だったそうです。世界の舞台の先頭集団でレースを展開する先輩を見たのは、思うような走りができず気持ちが落ちていた夏合宿の時。『私だけじゃない、何人もあの走りに救われた』と語る様子からは、当時の感動を今でも鮮明に覚えていることがうかがえました。
後輩も力をつけチームとして成長していく中で、キャプテンとして自身の走りでもチームを牽引しなければならないプレッシャーは想像に難くありません。しかし、チームと自分、どちらも重要だからこその複雑な葛藤は、きっと本人にしか分からない部分がありますし、自分自身でさえもうまく整理がつかないこともあったのではないかと思います。
けれども、新エース・野田選手が口にした『優勝したいし、桃奈さんのために勝ちたい』という言葉からは、彼女のキャプテンとしての2年間の思いがきちんと後輩に届いているように感じられました。
富士山女子駅伝はこのチームで繋ぐ最後の駅伝。勝つチームは一つしかないことは分かっていますが、取材のたびに笑顔で終えてほしいチームが増えるばかりです」

注目の富士山女子駅伝は12月30日(月)朝10時に号砲が鳴らされる。

「SUZUKIスポーツスペシャル富士山女子駅伝2024」
12月30日(月)あさ9時55分
フジテレビ系列で生中継
https://www.fujitv.co.jp/sports/ekiden/fuji/

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