2024年も残りわずか、駅伝が最も熱くなる1週間がいよいよ12月30日(月)、ここ富士山から始まる。
実業団のニューイヤー、男子の箱根、そして、大学女子駅伝の頂点を決める大会がこの「富士山女子駅伝」。
学生スポーツだからこその1年間という限りがあるチーム。出場する選手にとっては、集大成の大会となる。
陸上に青春のすべてをかけてきた女子学生たちがそれぞれの思いを胸に、富士の麓を駆け抜ける。そんな彼女たちの思いを取材してきた。

≪拓殖大学≫

「本当に申し訳ない」
10月の全日本大学女子駅伝で2年ぶりのタスキをつなぎ終えた拓殖大のエース・不破聖衣来(4年生)は、そう口にした。

2021年の富士山女子駅伝で鮮烈なデビューを飾った不破聖衣来
2021年の富士山女子駅伝で鮮烈なデビューを飾った不破聖衣来
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2021年12月、富士山女子駅伝で不破は鮮烈なデビューを飾った。
当時1年生、走ったエース区間の5区でなんと10人抜き、区間記録を大幅に更新する、まさに伝説の走りを見せた。

シドニー五輪マラソン金メダリストの高橋尚子さんもその逸材ぶりに舌をまいた。

高橋尚子さん(左)と不破聖衣来(右)
高橋尚子さん(左)と不破聖衣来(右)

高橋尚子さん:
「みんなの予想をはるかに超えてくるところが彼女のすごさですね。世界の頂点が見えるような。彼女のような素質をもっている選手は今まで見たことないです」

10000mでは日本歴代3位のタイムを記録し、日本陸上界の超新星として一躍注目の的となった。

しかし、この後に待ち受けたのは度重なるケガ。およそ1年半、レースに出場することは叶わなかった。

拓殖大・不破聖衣来
拓殖大・不破聖衣来

不破聖衣来:
「なんか本当に陸上選手やっているんだよなっていう感じくらい、正直辛い1年ではあったんですけど、2年3年のケガがなければ今の自分もないので、1年生の頃のように、そのまま戻りたいとは思っていないです」

ケガでレースに出られない期間も周囲に振り回されることなく、真摯に自分の身体と向き合ってきた。

夏合宿(五十嵐監督撮影)
夏合宿(五十嵐監督撮影)

地道な肉体強化に励み、夏合宿では、4年間で初めてケガなく完走することができたことで自信も取り戻してきた。

そして迎えた最後の駅伝シーズン。10月の全日本大学女子駅伝で2年ぶりに駅伝の舞台に帰ってきた。

悔しい結果に涙を流す不破聖衣来
悔しい結果に涙を流す不破聖衣来

しかし、直前の体調不良がたたり、区間7位。走り終えた表情は暗く曇っていた。チームの順位を押し上げることができず、結果は満足のいくものではなかった。

不破聖衣来:
「本当に自分自身はすごい悔しい思いが強いのと、みんなに申し訳ないなっていう思いがあります。今日からまた一からやり直していきたいなっていうふうに思ってます」

チームメイトに囲まれ写真を撮る不破聖衣来
チームメイトに囲まれ写真を撮る不破聖衣来

富士山女子駅伝は、4年間の集大成として、チームのエースとしての覚悟がより一層募る。

不破聖衣来:
「自分自身がみんなと走りたいという強い思いがあるので、今までの感謝を込めて走りたいという思いは強いです。自分の力でしっかりと表彰台には持っていきたいなと思っています」

★取材アナウンサーによる編集後記★

西山喜久恵(フジテレビアナウンサー)

不破聖衣来にインタビューする西山アナ
不破聖衣来にインタビューする西山アナ

1992年入社。「めざましテレビ」きょうのわんこのナレーションなど担当。自身はマスターズ水泳大会自由形で6位入賞。駅伝取材は「仕事か趣味か分からない」ほど熱中。富士山女子駅伝では第5中継所実況の実況を担当する。

「不破選手の涙を見たのは、4年間取材して一度だけ。24年の全日本大学女子駅伝のゴール地点の仙台市の陸上競技場で、人目をはばからずチームメイトの前で『本当に申し訳ない』と号泣した。どんな時も前向きで弱音を吐いた姿を見せない不破選手が泣いていたのである。
今シーズンの不破選手は、長い故障の期間を乗り越え春先から着実に練習を積んでレースに出場してきた。自信をもって走れる手応えをつかんでいただけに、直前の体調不良で本来の走りができなかった自分にどうしても納得がいかなかった。
『万全の状態でスタートできなかった。体調面で合わせられなかったのも自分の実力』。厳しい目で自分を振り返るのも不破選手らしい。しかし、このように悔しさを前面に出す不破選手を頼もしいとも思えた。万全であれば、どんな走りだったのだろう。
不破選手は、最近の自身の走りを『理想とする走りを100%とすると、まだ40%程度。でも重いギアで走れるようになった。より安定感のある走りになってきている』と分析する。
12月の記録会では、中盤からスピードに乗るとその勢いが持続して10000m以上まだまだ走れるような展開だった。ケガの間も時間を無駄にせずトレーニングをやってきた成果が確実に出てきているのだ。
学生最後となる富士山女子駅伝に向けての意気込みを不破選手に聞いた。『このチームで走る最後の駅伝。絶対に走りたいし、チームに恩返しをしたいです。エースとして区間賞に近い走りをして、それを後輩たちにも見せたいです』
最後にどんな4年間だったかを聞いてみた。『ケガで苦しい期間が長かったけど、改めて走れる楽しさを感じられました。色々な経験ができて成長の4年間でした』
オレンジ色の拓殖大学のユニフォームを着て富士山に向かって走る大学駅伝ラストラン。今度こそ富士山から世界に向かって力強く羽ばたいてほしい」

不破聖衣来(左)と西山アナ(右)
不破聖衣来(左)と西山アナ(右)

注目の富士山女子駅伝は12月30日(月)朝10時に号砲が鳴らされる。

「SUZUKIスポーツスペシャル富士山女子駅伝2024」
12月30日(月)あさ9時55分
フジテレビ系列で生中継
https://www.fujitv.co.jp/sports/ekiden/fuji/

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