高校バレーボールの頂点を決める春高バレーが1月5日に開幕する。長崎の男子代表は3年ぶり2度目の出場となる鎮西学院高校。2022年1月の初出場時に初戦敗退で終わった経験を糧に、目標のベスト4へ一丸となっている。そんなチームを引っ張るのは、“おっとり”したエース兼キャプテンだ。

初戦敗退の教訓を糧に

3年ぶり2度目の春高に出場する鎮西学院高校男子バレー部。この日は学校を飛び出し、県外での練習だ。

3年ぶり2回目の春高出場となる長崎男子代表・鎮西学院
3年ぶり2回目の春高出場となる長崎男子代表・鎮西学院
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3年前に初めて春高の聖地を経験した戸田淳一監督は、他の試合と比べた春高の違いを「雰囲気」だと話す。有観客、コートの広さ、空間、床、すべてが違うという。

3年前の春高は初戦敗退
3年前の春高は初戦敗退

初めて春高に乗り込んだ鎮西学院は、“聖地”東京体育館の空気感やクッション性に優れた床に戸惑い、初戦で姿を消した。県外への遠征はこの反省を生かし、天井の高い空間や東京体育館と同じ床に慣れる狙いがある。

鎮西学院・戸田淳一監督「春高は力がないチームは一瞬で終わる」
鎮西学院・戸田淳一監督「春高は力がないチームは一瞬で終わる」

戸田監督は「春高は一瞬で終わる。力がないチームだと特に。そこを踏まえて、そうならないようにしっかり練習をしてトレーニングをして、気持ちをしっかり作って臨みたい」と語る。

バレーになると“おっとり”が“頼もしい”エースに

 3年生の山本澪主将は県外のコートでの練習は貴重な機会ととらえ、仲間たちに声をかけていた。

鎮西学院・山本澪主将(3年)
鎮西学院・山本澪主将(3年)

山本選手は身長186cmと「高さ」と「決定力」のあるエース。キャプテンも務めるチームの大黒柱だ。山本選手は、熱血漢でイメージされるいわゆる「キャプテン像」には当てはまらない。

クラスではおっとりしていると見られる山本選手だが、バレーになると変わる。チームをしっかり引っ張り、試合になるとさらに頼もしさが増す。

山本選手の奮起で県大会決勝戦は大村工業に競り勝った
山本選手の奮起で県大会決勝戦は大村工業に競り勝った

全国大会の切符がかかった11月の春高県大会の決勝戦。先にマッチポイントを取られ、追い込まれた状況でも悠然と得点を決め、全点数(118点)の3分の1にあたる42得点を上げた。「終盤は全部持って来いという気持ちでやっていた」と山本選手は大会を振り返る。

ぬいぐるみに癒しを感じる愛らしい一面も
ぬいぐるみに癒しを感じる愛らしい一面も

佐世保市出身の山本選手は、学校そばの寮で暮らしている。ぬいぐるみに癒しを感じ、寝るときは抱き枕を手放せない。

かわいいキャラクターに目がない
かわいいキャラクターに目がない

昔からポケモンなどかわいいキャラクターに目がないという愛らしい一面も。寮生活で身の回りのことを一通り自分でこなせるようになり、親元を離れて精神的にも成長したという山本選手。エースとしての自覚を高めるきっかけにしてほしいと、監督から人生初のキャプテンに指名されたのだった。山本選手は「いやでも動かないといけないから、動く力は付いたと思う」と語る。

チームの目標は「ベスト4」監督の目標は「5kg減量」

チームの平均身長は181.8cmと全国の強豪と比べても引けを取らない。チームの「もう一人のエース」は園田柊弥選手(3年)、「守備の要」が梶山剛大選手(3年)。

ビーチバレーの全国大会で2冠を勝ち取った園田選手と梶山選手
ビーチバレーの全国大会で2冠を勝ち取った園田選手と梶山選手

2人はペアを組んで出場したビーチバレーの大会で全国2冠に輝いた。「剛大はレシーブがよくて、トスが合わなくてもしっかり決めてくれるので信頼できる」と園田選手が話せば「柊弥はトスが合わなくてネットに近いときの処理がうまいので、信頼している」と息もぴったりだ。

多士済々のメンバー構成に手ごたえを感じる指揮官は、敢えて指導にも緩急をつけ、本番に臨ませようとしている。

選手をその気にさせるために監督は「5kgダイエット」を宣言
選手をその気にさせるために監督は「5kgダイエット」を宣言

選手をその気にさせるために、自分にも課題を課した。ダイエット宣言だ。現在122kgの体重を5kg落とすと宣言。一方で選手たちは春高の目標を「ベスト4」と打ち立てた。

開会式では選手宣誓の大役も 

山本選手は開会式での大役にも抜擢された。男女104校の代表として選手宣誓を行うことになったのだ。

山本選手は開会式の選手宣誓の大役を任された
山本選手は開会式の選手宣誓の大役を任された

山本選手は「一生に一度の機会をもらったから、しっかり自分の気持ちを選手宣誓で言いたい」と話す。

鎮西学院の1回戦の相手は北海道第1代表の北海道科学大学高校。北海道科学大学は、わずか12人しか選ばれない全日本高校選抜のメンバー佐藤ラニ海選手(3年、190cm)がエースで、スタメンの平均身長184cmと高さの揃ったチームだ。

目標はベスト4進出
目標はベスト4進出

鎮西学院は「全国レベルの高さに慣れる」ために、県外の強豪校や大学生チームと練習試合を重ねてきた。「春高では自分がしっかり決めて、チームを勝たせられるエースでありたい」そう語る山本選手はオレンジコートでチームをまとめ、頼もしい姿を見せてくれるに違いない。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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