2024年10月に行われた衆議院解散総選挙で獲得議席が公示前の4倍となる28になったことで存在感が増している国民民主党。党を切り盛りする榛葉賀津也 幹事長(参議院静岡選挙区選出)が単独インタビューに応じ、玉木雄一郎 代表が不倫問題で役職停止となる中で自身の役割などについて語った。(#1から続く)
結党4年…花が開きつつある国民民主党
-原点というお話がありましたが、現在の国民民主党になって4年余り。振り返ってどうでしたか?
国民民主党・榛葉幹事長:
しんどかったですね。1日1日がサバイバルで、結党の時に大黒柱が何本かあってね。しかし、まず1本目が和歌山の県知事になり(和歌山・岸本周平 知事)、2本目が離党して違う新党を作って、いまや維新の代表になり(日本維新の会・前原誠司 共同代表)、3本目が名古屋の市長選挙に行き(大塚耕平 前参議院議員)、残った柱が玉木と私とその他の仲間たち。この大ベテラン、我が党の政策キーマン達が違う道を選択されたので、その都度、玉木と私で「踏ん張ろうね」と言ってここまでやってきて、本当に気の休まる日は1日もなかったですね。今でもそうですけれど。

-榛葉幹事長は玉木代表の右腕的な存在だと思うんですけれど、どんなことを心がけてきましたか?
国民民主党・榛葉幹事長:
まさに我々の結党の原点、「対決より解決」。新しい政治文化を作りたかったんですね。で、いま作ろうとしているんです。ほとんどの国民が政治を諦めたと言っては語弊があるかもしれないけれど、やっぱりステレオタイプ的な目で、いままでの日本の政治を見てきたものが「こんな政党がいるんだ」「こんな政治家がいるんだ」という風に気づいていただいて、自分の選挙や1票で本当に世の中が変わって政策が変わるんだと、それを体現できる政党作っていこうと。
いま、それができつつあると思っています。ちょうど時の政局が自公を足しても過半数ない、そして、ある程度理解ある野党が協力しないと法案が通らない、予算が通らない、人事が通らない。そこで何でも批判の政党ではなくて、「対決より解決」と言っている我が党が日本の政治に空白を作らない、そして、いまの与党の悪い部分を変えていく、政策中心の政治をやっていくと、いま政治文化が変わりつつあるんじゃないかなという風に思いますね。
-玉木代表にとって今後もどういう存在でありたいと思い描いていますか?
国民民主党・榛葉幹事長:
私は野球でいったら3塁コーチャーなので、エースの玉木が投げやすい環境を作り、我々のチームが3塁ベースを回って1点取る。私はまさに縁の下の力持ち役なので、あくまでも女房役として玉木がどんな時でも支えていくという役割だと思っています。
問われているのは「与党ではなく野党」
-真価が問われるのは通常国会だと思いますが、どういった姿勢で臨みたいですか?
国民民主党・榛葉幹事長:
自民党も公明党さんも補正予算さえ通ればいいのではなくて本丸は来年度の本予算ですから、税制改正に向き合う与党の姿勢、どれだけ我々の、つまりは国民の要望している減税を呑むのか、対応によって年明けの本予算の我々の立ち位置や戦略戦術はガラッと変わると思いますし、2025年の大きな布石になると思いますね。2025年は極めて流動的だと思います。
1月から平成の大合併に伴うミニ統一地方選挙が全国各地であり、都議選、参議院選挙もありますから、2025年は激動の年になると思いますね。

-少数与党となる中で、国民民主党も含めて野党がどうあるべきかというビジョンや考えはありますか?
国民民主党・榛葉幹事長:
まさにいま、野党が問われていますね。少数与党が問われているのではなくて、野党の振る舞い、野党の所作、ただ自民党をやっつけるためだけの野党なのか、つまりは日本の政治を混乱させるためだけの野党なのか、しっかり国民に向き合って、国民の生活をより良くする具体策を持った野党なのか。予算委員長が野党になり、憲法審査会の会長が野党になり、国民が野党の立ち振る舞いを極めて厳しくウォッチすると思いますね。
憲法審査会も開店休業だったら「あぁ、やっぱりやる気ないんだね」と。石破内閣に対する失望もあるかもしれませんが、それは転じて野党に対する失望にも変わると思うので、つまりは日本政治全体への失望ですよね。それは絶対あってはならないと思っています。
私たちがいま小さな党ですけれど踏ん張っているのは、我々の政策を具現化する、実現することは国民に対する達成感なんですね。自分の1票で政治が変わった、と。これは国民民主党に対する期待が大きくなる以上に、私は日本の政治に対する国民の期待が、信頼が増すと思うんですよ。政治とカネの問題で地に堕ちた政治への信頼を、自民党への失望かもしれませんが、私は、これは日本の政治のピンチだと思っています。自民党のピンチではなくて、この日本の政治のピンチをどうやって取り返すか。我々がいま頑張らなければならない大きなテーマだと思っています。
主要野党との距離感
-野党第1党は立憲民主党で、元は仲間だった人たちが多いという部分もありつつも、なかなか一致できない部分もある中で、立憲民主党に望むことは何かありますか?
国民民主党・榛葉幹事長:
立憲民主党の中には我々が信頼できる友人や親友がたくさんいます。立憲さんは幅が広いんですよね。ほぼ国民民主党と変わらない人から、「これって共産党と変わらないよね」っていう方が混在して、どうしても県連や党が「こうだ」と言っても、みんなそれに一枚岩にならないんですね。それが困っちゃうんですよ。言ったことを守ってもらわないと。この人はいいけど、この人はダメでは組織ではないので。
なので、我々が少し、今一歩友好な方に舵を切りづらいというのは、極端に主義主張が真逆の方が少なからず入っていて声を上げる。それで、我々の支援団体の連合さんとか我々の方針とはまったく違う方向に走っていくことがままあったんですね。そこじゃないですかね。今でも「連合推薦はいらない」と共産党さんと一緒にマイクを持ってやっている方がこの東海地区にもいらっしゃいますので、もし我々がより連携強化するのだったら、そこをなんとかしないと。基本政策、例えばエネルギーとか安全保障とか、こういったものが我々と真逆のことを言われると、なかなか連携しづらいですね。
-他党のことなので言いづらい部分もあると思うんですけど、立憲民主党の中でも整理・再編がまだまだできていないという感じでしょうか?
国民民主党・榛葉幹事長:
他党のことですから、私がどういうこう言うことないんですが、だからこそ国民民主党を我々が作ったんですね。本当に作って良かったと思っていますし、すごく精神衛生上もいいです。思ったことを言えるし、思ったことをやれるし、自分たちに嘘をつかずにしっかりとエネルギーや安全保障の正論を言えますから。
だから立憲さんの中で我々に近いけれど立憲にいるというのは、やはり立憲の方が選挙に勝ちやすいんですよ。いまの選挙制度は比例復活という保険がありますから。どの国会議員もやっぱりバッジを失いたくないというのは人情としてよくわかります。国民民主党は比例復活なんかそもそもなかったので、それでも国民民主党でやるというのは悪いけれど相当のマニアックな人ですよ。赤穂浪士みたいな連中なので。
ただ、やっぱり「どうしても勝ちたい」「勝ち続けたい」という人は大きな政党に行った方が、仮に選挙区で負けても比例復活の枠がたくさんあるから。これは政治家としてわからないでもないんです。ただ、それをやっちゃうと有権者から「政策実現じゃなくて、自分が国会議員でいるための就職活動だね」っていうのが、どうしても透けて見えるんですよね。
だから、ある意味で我々、国民民主党で退路を断ってやった、それが1つ今回、みなさんから信頼を得たのは「この人たち本気でやっているよね」っていうのが見えたというのはあると思います。

-先ほど話にあった結党時の柱だった前原誠司 衆議院議員が日本維新の会・共同代表になりました。国民民主党にとって前原議員はどちらかと言うと後ろ足で砂をかけて出て行った人です。その前原議員が国民民主党との連携を示唆していますが、どのように向き合いますか?
国民民主党・榛葉幹事長:
他党のことだからあれだけども、維新はこれから厳しいと思うよ。だって、とんがって他の野党と群れずにやったので一定の支持があったけれども、(野党候補の一本化に向けた)予備選をやるとか、野党連携して一本化していくとか、前原さんになってリトル立憲民主党になりつつあるね。
こうすると多分、連合さんと維新の関係では連合さんは維新を応援できないので、参議院の1人区で維新はほぼ勝てないんですよ。そうすると維新は今後、多分埋没していく可能性が大ですね。よく前原さんを共同代表にしたなと思いますし、よく受けたなと思いますね。(日本維新の会の)大阪チームはなかなか思うところもあるでしょうし、通常国会をよく見ていきたいと思います。
(テレビ静岡)