高知ユナイテッドSCの吉本岳史監督が12月13日、「プライムこうちF」に出演。高知県勢初のJリーグ入会を成し遂げた喜びを語った。2025年2月に決まった栃木SCとのJ3初戦。対戦への意気込みも聞いた。
J3昇格の瞬間 ピッチに立った心境
サッカー・高知ユナイテッドSCの吉本岳史監督は高知・四万十市出身で、現役時代はJリーグで195試合に出場。高知ユナイテッドSCでは、JFL1年目の2020年からコーチ、2022年から監督を務めている。

まずは、J3昇格から1週間が経った今の心情を聞いた。
吉本岳史監督:
いや、まだ実感はないですね。まだシーズンが終わったぐらいの感覚で、まだまだ本当に実感は湧いてないです。

J3昇格は高知県に夢と感動を与えた。
この瞬間に監督としてピッチに立つことは「全く想像してなかった」と言う。
吉本岳史監督:
本当に最高のところでいい成績を収められたなと思います。
5年間で「一歩一歩階段を登った」
高知ユナイテッドSCは「高知からJリーグクラブ誕生」をスローガンに、2016年に四国リーグのライバルチーム同士が合併して誕生。2019年に高知県勢初のJFL昇格を決めた。
JFLでは毎年順位を上げ、5年目の今シーズンは開幕7連勝を飾るなど、7月のリーグ中断まで首位を独走。9月以降は苦戦が続いたが、過去最高となる2位でリーグ戦を終え、入れ替え戦への挑戦権を手にした。

JFL1年目から指導に当たってきた吉本監督に、この5年間でチームがどう変わってきたかを聞くと、「順位は変わったのはもちろんですけども、選手も入れ替えながら、一歩一歩階段を登ったっていうイメージですかね」と話す。
改めて今シーズンを振り返り、「下馬評では優勝候補でもなく、順位がどうなるのかっていう部分は皆さんに言われてましたけど。選手が最初からスタートダッシュしてくれて、勢いをつけてくれたなと思ってます」とコメント。

「ホームゲームの入場者数」もJ3の昇格条件の1つだった。特に9月1日の試合では過去最多の1万1085人が来場し、この条件を見事クリアした。
この来場者数に「高知でこんな人数が集まるのかとびっくりしました」「選手は逆にそれに緊張してた感じはしますけど」と吉本監督は語った。
「力を借りて成し遂げられた」昇格
リーグ戦を2位で終えた高知ユナイテッドSCは、J3昇格をかけて12月に入れ替え戦に臨んだ。
――相手はJ3の19位・横浜スポーツ&カルチャークラブだったが、自信については?
自信を持って臨んだっていう姿勢は変わらなかったですし、勝てると思って臨みました。

第1戦は、12月1日に香川県で行われた。
前半では開始早々に先制を許したが、その後、上月翔聖選手(24)のゴールで同点に追いつき、1対1で引き分けた。この結果について吉本監督は、「すごく難しい試合だったと思うんですけども、前半のうちに追いつけたことが非常に良かった」と振り返った。
引き分けという結果には「最高の結果ではなかったんですけども、最低ラインの引き分けで、次勝てばいいっていう状況を選手が作ってくれたので、すごくポジティブに捉えましたね」と語った。

第2戦は、12月7日に敵地である神奈川・横浜市で行われた。
高知ユナイテッドSCは前半7分、新谷聖基選手(26)のヘディングシュートで先制。この1点を守りながら、試合終了間際には途中出場の内田優晟選手(20)が決定的な2点目のゴールを奪った。吉本監督も「最高のゴールを2人が挙げてくれました」とコメント。
内田選手の投入については、決めてくれると信じて送り出したという。「なんか勘が当たったなっていう感じだったと思います」と吉本監督は振り返った。
吉本岳史監督:
彼は何考えてるか分かんないんですけど、なんか相手に読まれづらい。ゴールに執着する力が強いんで、本当にいいゴールだった。
――改めて、1番の勝因は?
先制点じゃないですかね。あとは緊張感が非常になかったかなと、今回は。思い切って選手がトライしてくれたことが良かったのかなと思います。

また敵地・横浜での試合に高知から多くのサポーターが駆けつけたことについては、「ホームゲームのような空気を作ってくれたんで、選手が躍動してくれた」と言う。
この勝利で、ついに高知県に悲願のJリーグクラブが誕生した。
改めてこの試合を振り返った吉本監督は「何かを成し遂げる、それって難しいことだと思うんですけど、選手やサポーターの力を借りて成し遂げられたことは本当に最高ですね」と話した。
サッカー元日本代表の永島昭浩さんが、「プライムこうちF」でシーズン後半や入れ替え戦の前に熱い檄を飛ばしていたことにもコメントした。

吉本岳史監督:
ありがたいことですね。僕が言うよりも永島さんが言った方が伝わることの方が多かったんじゃないかなと。
――選手はどう受け止めていた?
外からの刺激というか、いつも僕が言ってることよりも、永島さんのような方に言っていただけることで素直に入っていったと思います。
来シーズンはJ2昇格へ勢いを!
来シーズンのJリーグの日程が発表され、高知ユナイテッドSCの開幕戦は2025年2月15日か16日で、対戦相手は栃木SCに決まった。

吉本岳史監督:
バレンタインデーの次の日だということで、皆さんにチョコレートならぬ勝利をプレゼントして帰ってきたいなと思います。
――対戦相手は強い?
強いですね。今、小林伸二さんという監督がいらして、非常にタフなチームを作られているので、難しい試合になるのかなと思います。
最後に、来シーズンから始まるJリーグの戦いに向けて、監督に意気込みを聞いた。

吉本岳史監督:
昇格することは非常に良かったと思うんですけども、昇格に浮かれることなく、このシーズンをしっかり戦って、残留、そしてJ2昇格という勢いをつける試合にしていきたいなと思います。
――もう既にJ2昇格を視野に?
目標が高いほど良いと思ってはいるので、目指していきたいなと思います。
「何年以内に?」という質問には、「皆さんの応援次第」と笑顔で答えた。
高知県民一丸となって高知ユナイテッドSCを応援していきたい。
追記:高知ユナイテッドSCは12月22日、吉本岳史監督の退任を発表した。新監督には元日本代表・秋田豊さんの就任が決まった。
(高知さんさんテレビ)