「もちろんジャンプを決めないと切符はもらえないと思っていますけど、スケートは技術だけじゃなくて芸術面もある、すごくまれなスポーツ。自分がここまでスケートを続けようと思ったのも芸術面があるからこそなので、そこを忘れないで。ジャンプ、スピン、技術に固執しがちですけど、フリーではトータルで自分が魅せられる、気持ちで踊るような演技がしたいです」

3位表彰台にのぼった平金(2024年東日本)
3位表彰台にのぼった平金(2024年東日本)

10月27日、平金桐は初めて全日本選手権の切符をつかんだ。総合3位となり、表彰台の上で安堵の笑みを浮かべた。

旧友・島田麻央と同じ舞台に立つ

その夜、嬉しい再会をしたという。

「会おう!」と連絡を取り合ったのは島田麻央だ。ジュニアで2年半全戦全勝の16歳は、東京・東大和で共にスケートを学んだ仲間。

2人が出会ったのは島田が小学校1年生のとき。島田との再会を平金は笑顔を見せながら振り返る。

「上手になって有名になっているけど、今も本当にそのままだなって。シャイで、かわいいものが好きで、芯が強くて、でもホワンとしてるっていうか。一緒に楽しんでスケートをしていました。すごく脚が強くて、7歳上の私をおんぶしてくれていました」

7歳年上の平金をおんぶする島田麻央(平金桐選手提供)
7歳年上の平金をおんぶする島田麻央(平金桐選手提供)

島田も、平金のことを聞くと表情が一気にほころんだ。

「スケーティング、ステップ、ジャンプを教えてもらって、ずっと遊んでもらって。その桐ちゃんが全日本に出て、そして私も全日本に出ることができて。まさかその時は同じ大会に出ると思っていないですし、その大会が最高峰の全日本ということも思っていなかったので、私も桐ちゃんも“全日本に行ける”って決まった時は本当に心から嬉しかったです」

全日本でも「自分を見失わず」

全日本に出場する女子シングルのスケーターには、ジュニア世界一の16歳も、初出場の23歳も、等しくショートプログラム2分40秒の演技時間が与えられる。

リンク上はたった一人。そして、自分だけに用意された時間だ。

初めての出会いは島田が小1のとき、そこから親交は続く(平金桐選手提供)
初めての出会いは島田が小1のとき、そこから親交は続く(平金桐選手提供)

そして島田は、ルール上、全日本選手権でしか挑めないトリプルアクセルに意欲をみせる。

平金桐は、全日本の場でも自分を見失わずに夢舞台に挑みたいと語る。

「どんなにジャンプが大事でもどんなに点数をとりたくても、踊るということを意識しないと作れない演技。そこだけは見失いたくないと思っています」

どちらも、とても楽しみだ。

■全日本までの道の詳しい概要はフジスケで!
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/figure/toJPN.html
※エントリーが出たら全日本への道の詳細が反映されます。
FODで全選手・全演技LIVE配信

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班