平金はこんな風に思い、それが心残りだったという。
大学卒業と同時に引退するスケーターがほとんどだが、平金は現役をもう1年だけ続ける決断をした。
現役続行はめちゃくちゃ大変だった
現役続行は、いままでとは違う大変さがあったと語る。
「スポンサーがついているような強化選手もたくさんプレッシャーがあると思うんですけど、私レベルの選手でもいろいろな人の支えがなければ現役を続けられない。体、食事、金銭的にも、コーチのサポートも。いろいろな面でのサポートがないと続けるのですら難しい。競技をスキルをアップさせようと思ったらなおさら難しい。だから頑張ってよかったと思いましたけど、やっぱり去年の挑む気持ち以上に大変でした」

スケーターの生活は、“自分が滑ることができる練習時間”を中心に回っていく。そのため、アルバイトを探すのも一苦労なのだ。
リンクが一般営業していて練習枠がない土日に自分の練習を入れたいところだが、うまくはいかない。
「土日にできるバイトも決まっていますし、また疲れてしまっては意味がない。何のためにスケートやっているのか、何のためにバイトをするのか、自分が一番大切にしていることを見失わないように気をつけました」
そして今年10月、再びやってきた東日本選手権。悲願の全日本出場がかかった最後の試合だ。
ショートプログラムは5位と総合5位までに与えられる出場の圏内ギリギリだった。

フリースケーティングでジャンプをまとめなければ全日本への切符はつかめないが、平金はそれでも自分を見失わなかった。