7年ぶりのJ1復帰をかけてプレーオフ準決勝に臨んだV・ファーレン長崎は仙台に敗れ、J1昇格の夢は来季以降に持ち越しとなった。無敗の新記録達成や新しいホームスタジアムの誕生など、さまざまな出来事があったこの1年を振り返る。

プレーオフ準決勝 仙台戦 まさかの展開

J2リーグの3位から6位の4チームが出場するJ1昇格プレーオフ。V・ファーレンは1日が初戦だった。

来場者数は今シーズン最多の2万人超え
来場者数は今シーズン最多の2万人超え
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サポーターは「勝つ気満々で来ました。今年仙台には勝ててないけど、ピースタでは負ける気しない」「やるしかない!」 など、試合前から気合いの入りようは相当だった。来場者数は今シーズン最多の2万人を超えた。準決勝の相手はベガルタ仙台で、対戦成績は1分1敗、最終節で6位に滑り込んだ勝負強いチーム。「先制点が鍵」となる一戦で、立ち上がりから互いに積極的にゴールを目指した。

しかし仙台にPKで先制を許し、V・ファーレンは前半終了間際、エジガルがシュートを放つもわずかにゴールの右。1点ビハインドで折り返す。

後半に入ると仙台がさらに勢いを増す。後半8分と23分に追加点と、まさかの大量ビハインドの展開に。ホームでの意地を見せたいV・ファーレン。後半31分、マテウスのゴールでようやく1点を返す。引き分けでも勝ち上がれるアドバンテージがあるが、アディショナルタイムにカウンターからダメ押しの1点を奪われ、万事休す。ホームで1対4の完敗を喫した。

勇気が足りなかった

V・ファーレンは2018年以来7シーズンぶりのJ1復帰は叶わなかった。2013年、2015年以来3度目の出場となったプレーオフは、いずれも準決勝敗退という結果に終わった。

下平隆宏監督
下平隆宏監督

下平隆宏監督: このような結果で敗戦するとは予想もしてなかった。それほどショッキングなスコア、敗戦だった。ゲームに関していえば、準備してきたものとか今まで積み上げてきたものがあまり出せなかった。

秋野央樹選手
秋野央樹選手

秋野央樹選手: 勇気が足りなかった。相手は自分たちにボールを持たれるのを理解して、強固なブロックを作って90分間チームのためにハードワークしてというのと対照的に、自分たちはいつもの距離感でサッカーができなかった。こういう大一番で硬さが少し出てしまった。

米田隼也選手
米田隼也選手

米田隼也選手: 長崎の攻撃力が十分発揮できなかったのがひとつ負けた要因かなと思った。

2024年シーズンは波乱の幕開け~22試合無敗

V・ファーレンにとって今シーズンは、波乱の幕開けとなった。

前監督の二重契約が発覚し、指揮官が不在となったが、開幕直前に下平隆宏監督が就任。

2試合は勝ちがなかったものの、3月のカップ戦で初勝利を挙げると、リーグ戦では3月の清水戦から7月の甲府戦まで22試合無敗のクラブ新記録を樹立する。エジガルやマテウスなど外国籍の選手もそろって活躍し、一時は首位に踊り出た。

夏場に失速~最後は5連勝

夏場のリーグ中断後に失速。けが人が増えた影響もあり、6試合で3敗3分けと次第にJ1自動昇格圏が遠ざかる。それでも終盤には意地を見せる。

トランスコスモススタジアムに別れを告げた
トランスコスモススタジアムに別れを告げた

9月のいわき戦で約2カ月ぶりに勝利すると、12年戦ったトランスコスモススタジアムの最後の試合ではユース出身・安部が初ゴールを決める。

ホームを「ピースタ」に移してから勢いは加速し、最後は5連勝を飾った。ただ順位は、2位横浜FCに勝ち点でわずか「1」及ばず、3位に。プレーオフでも敗れ、J1昇格は持ち越しとなった。

秋野央樹 選手:V長崎としてこの結果を受け止めて来年につなげたいし、来年こそ昇格を成し遂げるためにはサポーターの力が必要不可欠なので、引き続きサポートしてもらえたら嬉しい。

リーグ1位の「総得点74」「負け5」

今シーズンは3位に終わったものの、総得点74でリーグ1位でチーム歴代の最高得点。負けの数もわずかに「5」と、リーグ最小だった。

V・ファーレン長崎の攻撃陣外国籍カルテット
V・ファーレン長崎の攻撃陣外国籍カルテット

何と言っても、外国籍選手の活躍が群を抜いていた。

普及インストラクター前田悠佑さん
普及インストラクター前田悠佑さん

V・ファーレン長崎普及インストラクターの前田悠佑さんは「攻撃陣は迫力があった。特にマテウス選手の存在は非常に大きく、18ゴールにも表れているくらい、今シーズンを象徴する選手」と絶賛。

シーズン開幕前、下平監督は守備にこだわり「1試合1点以下におさえればJ1がみえてくる」と話していた。結果、38試合で39失点。前田さんは「39も素晴らしい数字だが、自動昇格に足りなかったのが1点。最後に響いてしまったともいえる」と話す。

プレーオフはシーズン中にあまり見ることがなかった大量失点となったが、前田さんは「この経験を活かすことで来シーズン喜び合える瞬間が見られると思う」と来季に望みをつなぎ「この悔しさをばねに、ピースタでJ1を勝ち取ってほしい」とエールを送る。

来年はシーズン開幕からピースタで戦うV・ファーレン長崎。最高の舞台を見せてくれるに違いない。

(テレビ長崎)

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