新型コロナウイルスの感染が広がる中、各地で相次ぐのが学生寮や部活動でのクラスター。
集団生活の中で子どもたちをどうやって感染から守るのか学校現場はどのような対策を行っているのか。

礼儀正しく、挨拶して学生食堂に入る高校生。部活動を終えて待ちに待った夕食時間だ。

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福岡・太宰府市の私立筑紫台高校では、県外など遠方から通う約30人が寮生活を送っていて、毎日この食堂で食事をとっている。

こうした学生寮や部活動を巡っては、8月、島根・松江市の高校で、サッカー部の寮を中心とした100人規模のクラスターが発生しているほか、福岡・大牟田市の高校でも部活動を中心に28人の感染が発覚するなど、対策が急務となっている。

飛沫感染対策で席の間隔を空けシールドも作成

なかでも飛沫による感染リスクが高いのが食堂。

筑紫台高校の場合、昼食時は寮生以外の生徒も利用していることから、約300あった席を半分に減らした。

ーー賑わいも違う?

食堂の担当者:

違いますね、寂しいですね。本当だったら団子になって、「わーわー」言いながら食べるんですけど、それもなくて静かですよね

感染を防ぐため、当初は向かい合って座ることができなかった食堂だが、テーブルの上にシールドができたことで、今は向かい合って食事ができるようになった。

飛沫による感染を防ぐためのシールドは実は生徒たちのお手製のもの。
製作にあたったのは工業科の3年生7人。設計から組み立てまで全てを手がけ、約2カ月かけて90枚ものシールドを手作りした。授業で学んだレーザー加工で校章も入れている。

筑紫台高校 工業科3年・佐々木人夢さん:
やり遂げた感じが、もう凄かったです。今後もコロナの影響で長く使うことになると思うので、みんな1年生から2、3年生全員に大切に使ってもらいたいです

マスクの上にシールドと2重で

筑紫台高校は県内でも有数の剣道の強豪校。
稽古に打ち込む部員の面の中を見ると、マスクの上に透明のシールドが見える。

接近戦も多く打撃のたびに大きな声を出す剣道では、飛沫を防ぐためにこうしたシールドの着用が全日本剣道連盟のガイドラインで推奨されている。

剣道部員:
すごくやっていて苦しいし、暑いです

剣道部員:
すごく曇って、下の技とかは結構見えないんですけど、そこは感覚でやるしかないと思っています

厳しい暑さが続く中、道場の冷房を効かせこまめな水分補給を指導しているが、シールドをつけての練習は負担が大きく熱中症に繋がるおそれもある。

好きな時間にお風呂に入れない…

部活動をする生徒を含め23人が集団生活を送っている「醍醐寮」。
学校の敷地内にあり、島根県の学生寮で大規模感染が発生して以降、さらに神経をとがらせている。

筑紫台高校醍醐寮・吉田亮汰寮監:
こちらが、寮生が生活している部屋になります。元々は2人1組で1つの部屋で生活する状態ですが、今は1人1部屋で

50人の定員に対し、2020年度の入寮者が半分以下だったことが幸いして、現在は2人部屋を個室として使っている。
できる限り互いの接触を防ぎ感染リスクを減らすのが狙い。

さらに、共同で使う浴室は一度に入る人数を5人まで。時間も20分に制限した。

感染防止のためにはやむを得ない措置だが、部活で汗をかくこの季節。生徒たちは不便を強いられている。

寮生:
自分が入りたいときに入れないときが多い

寮生:
これだけたくさん寮生がいるんですけど、全員で入らなくなったのは寂しいと言えば寂しいです

このほか寮内ではマスクを着用。
至る所に消毒用のアルコールを置き朝晩の検温も徹底しているが、それでも感染リスクを完全になくすことは困難。

筑紫台高校醍醐寮・吉田亮汰寮監:
本当にうちじゃなくてよかったなって何回も思うシーンがあったんですけど、いつこの寮で起こるかもわからないので、取り敢えずは厳戒態勢でいくしかないなと思っています

寮生活で家族と合わない分、心理面が心配

また、感染対策を徹底すれば徹底するほど寮生同士の対話の機会が減り、自室で過ごす時間が増えているため、心理面への影響も懸念されている。

筑紫台高校醍醐寮・吉田亮汰寮監:
寮生も家族といない分、ここにいる寮生だったり、私たち寮監が家族のような者になってくるので、できるだけそういう接し方をしたいなと思ってるんですけど、やっぱりコロナの影響が大きいと言いますか、そちらの心配要素が多い

集団生活の学びの場でいかに感染リスクを低減し子どもたちを守るのか。
学校現場は先の見えない不安の中で対策に追われている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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