発達障害は脳機能の発達に関する障害で先天的なものとされていることから、気づいていなかっただけで、社会人になって初めて発達障害を発症することはありません。

グレーゾーンはなおさら、社会に出てから発覚することが多いといえます。

黙々と作業するのは得意だったBさん

Bさん(男性20代)は、電子工学系の一流大学院を出て、主にシステム開発の仕事を担当しています。

システム開発は、頭を使って黙々と作業することが得意なBさんに合っていましたが、慣れていくにつれて担当するパートが多くなり、会議でのプレゼンや発言の機会も増えていきました。

会議でのプレゼンや発言が増えることは望んだ環境ではなかった(画像:イメージ)
会議でのプレゼンや発言が増えることは望んだ環境ではなかった(画像:イメージ)

しかし、それはBさんにとって、歓迎すべき事態とはいえませんでした。なぜなら、Bさんは周囲の空気を読むことが苦手で、社の内外を問わず知らないうちに相手を苛立たせてしまうからです。

Bさんは、会議で、自分が開発した案件のこだわりのある箇所についてだけ長々と説明したことがありました。当然、周囲は白けた反応でしたが、会議が終わってからも、忙しそうにしているメンバーに何度も同じ箇所を説明に行ったりしました。

顧客へのアフターフォローでも、簡単な質問に対しマニアックな長文メールで回答して、クレームがきたことがありました。次第に周囲から厳しく指摘されることが増え、Bさんは、コミュニケーションが上手くいかないと悩み出しました。

学生時代は褒められることも多かった

Bさんの“こだわり”や“空気が読めない”というのは、社会人になって始まったことではありません。学生の頃も、クラスで“浮いている”と感じたことはあるそうですが、成績優秀だったので特に問題にはなりませんでした。