東京・銀座のラーメン店が、500円で待ち時間を短縮できるファストパスを導入し話題になっている。
外国人観光客から好評だが、予約が瞬時に埋まってしまう問題点もある。
専門家は、時間を有効活用したい客のニーズに合致すると分析している。
ファストパスで待ち時間を短縮
ラーメン店で「ファストパス」が導入され、待ち時間を短縮する新サービスが話題になっている。
店を訪れると、ある現象が起きていた。

27日のテーマは、「ラーメンに500円でファストパス。ソレってどうなの?」だ。
テーマパークなどでおなじみのファストパスは、チケット代に料金を上乗せして支払うことで、行列に並ばずにアトラクションを楽しめるサービスだ。
今、飲食店でも、このファストパスを導入する店が徐々に増えてきているという。
今回訪れたのは、東京・中央区の銀座にあるラーメン店「銀座・八五」。
一番人気のメニューは「ラビオリグルマンディーズ中華そば」で、お値段は1杯2200円。
カモや鶏をベースに、貝柱やシイタケなどを組み合わせた深い旨味のスープが絶品だ。
老舗の製麺所から仕入れたこだわりの麺は、ひと口すするとスープの香りを口に運んでくれる。
ミシュランガイド東京で星を獲得したこともあるこの店では、2023年11月からファストパスの導入を始めた。
予約サイトで500円のファストパスを購入すると、待ち時間を短縮してラーメンを食べることができる。
店主の松村さんに、ファストパス導入のきっかけについて聞いた。

銀座ハ五・松村康史店主:
夏の暑い日や冬の寒い日に3~4時間並んでもらうのは非常に心苦しい、申し訳ない。
訪れるお客さんの中には、外国人観光客の姿も目立つ。
午前中はファストパスの対象ではないため、店の前には行列ができていた。
その後、ファストパスで入店できる時間になると、店員にスマートフォンの予約画面を見せて、次々とお店の中へ入っていった。
午前中から並んでいたファストパスなしのお客さんに、何時から並んでいたか聞いた。
30代:
並びました。だいぶ並びました。(午前)8時15分からです。
食事を終えた海外のお客さんに「500円でファストパス、どうですか?」と尋ねた。
アメリカからの観光客:
(500円は)リーズナブルで高くないし妥当。たった3~4ドルなので。アメリカではおいしくないラーメンもこの店より高い。
ポルトガルからの観光客:
列に1時間や1時間半並ぶより楽だと思います。予約をしてその時間に行けるのもいいと思いますね。

海外のお客さんからは、好評のようだった。
一方で、こんな現象も起きていた。
台湾からの観光客:
チケットが1分で売り切れてしまったので、手に入りませんでした。
この店では毎週土曜日に、次の火曜日以降のファストパスの予約受付が始まるが、1日48席の予約が毎回数秒で埋まってしまうという。
インバウンド客増加で需要拡大へ
スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
並んで食べるからこそ、おいしく感じる文化でもあるかなと思うのですが、お金の力で解決できるのであれば、ぜひファストパスが欲しい。

あらためて、店主の松村さんにファストパスを取り入れてからのお客さんの反応を聞いた。
銀座ハ五・松村康史店主:
予約というのは、高級レストランというか、すごく客単価が高い店が導入していますので、ラーメン店で(導入するのは)はたしていかがなものかという思いもあった。お客さんの声を聞くと、「並ばなくて食べられるというのは500円以上の値打ちがある」と言っていただいています。
日本人のお客さんにも、ファストパスについて聞いてみた。
30代:
ラーメン好きなので、よく行くんですけど、週に2~3回。人気の店はどうしても並ばないといけない。並ぶ余裕があるときはいいんですけど、余裕がないときや時間指定で行きたいときは(ファストパスを)利用するのはまったく抵抗ないです。
予約サイトを見ると、この店以外にもファストパスを導入している飲食店は、関東や関西を中心に40店舗以上ある。
中には、メニューの料金より高いファストパスが2000円という店もあるが、それでも予約困難な店もあるようだ。
専門家に、ファストパスのメリットについて聞いた。

第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣さん:
インバウンド客は観光で忙しいので、長蛇の列に並ぶ時間は非常に貴重。ファストパスを利用して待ち時間を減らし、観光やショッピングを楽しむなど時間を増やせる。言語の壁もあるので、ファストパスでスムーズに入店し、快適な食事時間を過ごすことができる。
「タイムイズマネー」という言葉の通り、滞在時間が限られる外国人のお客さんも視野に、今後もファストパスを導入するお店は増えていくかもしれない。
(「イット!」11月27日放送より)