石破首相は26日、初の政労使会議を開き、経団連や連合の代表と会談した。
2025年の春闘での大幅な賃上げと、2020年代に最低賃金を全国平均1500円に引き上げる目標への協力を要請した。
しかし中小企業には負担が大きく、企業の不安も高まっている。
政労使会議で賃上げ要請「大幅な賃上げのご協力を」
石破首相は、経済界・労働団体との3者会合で、2025年の大幅な賃上げと最低賃金引き上げへの協力を求めた。

26日午後1時ごろ、石破政権になって初めて開かれた「政労使会議」には、経団連の十倉会長と連合の芳野会長らが出席し、石破首相は2025年の春闘での大幅な賃上げの継続を要請した。
石破首相は、「33年ぶりの高水準の賃上げとなった今年の勢いで、大幅な賃上げのご協力をお願いいたします」と述べ、さらに最低賃金を2020年代に全国平均1500円に引き上げる政府の目標達成に向け、官民を挙げて環境整備を図ると表明した。
さらに、対応策を2025年春までにまとめるよう、関係閣僚に指示した。
「2020年代に1500円」を達成へ…年7.3%増の高い壁
ここからは、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。
青井実キャスター:
ここ10年の最低賃金の全国平均の推移を見ると、2024年度は前年より51円アップの1055円となり、4年連続で過去最大の上げ幅を記録しました。年平均の上昇率は3.1%です。しかし、「2020年代に1500円」を達成するには、年平均で7.3%の上昇が必要です。最低賃金の引き上げは、中小企業の負担が増えるのではないかとの声もあります。

スペシャルキャスター・山口真由さん:
経済成長を超えるペースでの引き上げは中小企業には難しい。中小企業から大企業へ人材が移動し、生産性を上げる必要があるが、従来、日本政府がとってきた対策とは違う気がします。

青井キャスター:
一方、時給を上げることで、従業員がそれに見合う生産性を高め、売上アップの好循環に乗れるのではないかと思ってしまいます。

青井キャスター:
こうした中、最低賃金の地域差に注目が集まっています。最も高い東京都は1163円、最も低い秋田県は951円と、その差は212円です。その中で、徳島県だけが、前年比84円アップと大幅に伸びています。
立石修解説委員室長:
徳島県はこれまで、最低賃金が下から2番目で、労働者人口流出に歯止めがかからない状況がありました。後藤田正純知事が「地方創生戦国時代」ということで政治的決断を下し、審議会に要請を繰り返すことで、異例の引き上げを実現しました。この「徳島ショック」と呼ばれる動きは、他県にも影響を与えています。
「賃金の上げ方のスピードが速すぎやしませんか」
青井キャスター:
ーー徳島県民は、どう受け止めていますか?

立石解説委員室長:
県民の受け止めは、おおむね好評でした。
徳島県の大学生:
時給が上がりました。上がった分はクリスマスまでに彼氏が欲しくて、“自分磨き”を頑張ろうかなって。美容院に行ったり、コスメを買ったり、お洋服を買ったりしようかなって。
立石解説委員室長:
しかし、企業側には不安もあります。ヨーグルト工場では11月から人件費が上がり、冷蔵庫の購入を取りやめるなど、設備投資を断念せざるを得ない状況です。経営者は「賃金の上げ方のスピードが速すぎやしませんか」と懸念を示しています。
青井キャスター:
ーー企業側には不安がありますが、このあたりどうでしょう?
立石解説委員室長:
消費意欲が上がっている人もおり、生産性を上げれば地域経済が活性化する可能性もあります。
青井キャスター:
ーー山口さんは、この徳島の例を見てどうですか?
スペシャルキャスター・山口真由さん:
労働分配率のみならず、生産性を上げていくいうことが好循環につながっていくのかなと思いますね。
(「イット!」11月26日放送より)