大相撲九州場所で初優勝を果たした大関・琴櫻(27)。

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一夜明けた25日、会見で口にしたのは、今は亡き祖父、先代・琴櫻と同じ“横綱になりたい”という強い決意でした。

琴櫻関:
この世界入った以上、先代(祖父 元横綱・琴櫻)に追いつくことが目標でしたし、そこ(横綱)に一つ手がかけられるような状態を自分で作れたので。
しっかり自分で悔いが残らないように、常にもう最後までしっかりやっていくつもりですし、(祖父 元横綱・琴櫻に)早く追いつきたい気持ちで、やっていきたいなと思います。

――胸の中で先代にはなんと声をかけましたか?
優勝しましたとは。喜んでいるかわかんないですけど。厳しい言葉をかけられる可能性のほうがあるかなと思うので。

――師匠(父 佐渡ケ嶽親方)はどのような言葉を?
ちょっと横で見てる…(笑)。おめでとうって言ってくださった。

――優勝の感想は?
まあ、うれしい気持ちもありますけど、対戦相手がいることなので。
全ての感情をしっかり抑えて、人前じゃなくても喜ぶことはできますから。対戦相手にも失礼になりますし、相手があっての勝敗だったり、成績だと思うので。

対戦相手に真摯に向き合い、目標の“横綱”をまっすぐ見据えるストイックな一面を見せる一方で、“大物すぎる”一面が見える場面もありました。

相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏:
初優勝の場所っていうのは、皆さん眠れない日が続いているとかって思うんですけど、この15日間いつ頃から、優勝を意識して。やっぱり眠れなかったりしました?

琴櫻関:
すみません、普通に寝てました。(千秋楽の朝も)眠かったんで。7時間は寝てますね…7~8時間は寝ていました。

相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏:
大物ですね。

琴櫻関:
いや眠かっただけです。

転機となった“母の言葉”…恩師語る成長劇

琴櫻関は1997年、幕内力士だった琴ノ若の長男として誕生。

2歳から相撲を始め、4歳の時には、まわしをつけ稽古場で、祖父である先代・琴櫻から相撲の基本を教え込まれたという琴櫻関。中学1年生で親元を離れ、寮生活を始めました。

そんな琴櫻関を中学・高校の6年間指導した、埼玉栄高校・相撲部監督の山田道紀さんは、当時をこう振り返ります。

中高6年間琴櫻関を指導 山田道紀さん:
(中学1年生の頃は)見た目はおっとりしていますけど、どうしてもやっぱり、後を継がなきゃいけないというのが、そういうものを本人は心の中で持っていたと思います。
ただ、力がなかなかそれに追いついてなかったんです、初めは。

当時から体格は良かったものの、腕立て伏せもできず、全国的な実績も全く振るわなかったといいます。ターニングポイントとなったのは、高校時代。

中高6年間琴櫻関を指導 山田道紀さん:
高校2年生のインターハイで一応メンバーには入れたんですけど、全く使えなくてですね。もう本当に、これ大丈夫かなぁ…と思っていた頃に、お母さんに「自信がないから見に来なくていいよ」と本人が言ったらしいんですよ。
でも、お母さんはしっかりされていて「あなたの応援じゃないよ、埼玉栄高校の応援に行くんだから」ということで怒られて、本人がガックリしたって。

そんな母の言葉をきっかけに変わっていったという琴櫻関。

中高6年間琴櫻関を指導 山田道紀さん:
2年生の(夏の)インターハイで負けたんですよ、それが終わってからですよ、ものすごく猛特訓したんですよ。それでちょっと10月の国体ぐらいから芽が出だして。その後から、3年生にあがる全国選抜大会ぐらいからメキメキと力をつけてきたんですね。

この頃には、320kgもあるタイヤをひっくり返せるほどの力をつけ、体力的にも精神的も急成長をとげたといいます。

そして、高校3年生の時にはキャプテンを務め、インターハイの団体戦では、決勝に進出。2対2の場面、大将としてチームの勝敗を決める大役を任されました。
その結果は…。

中高6年間琴櫻関を指導 山田道紀さん:
彼が、そのとき全然勝てないと思ってた高校チャンピオンに、うっちゃりで勝ったんですよ。そういうものを“持っている子”だなと思いましたね、そのときには。
彼は休まないで人一倍やったと思います。歴代キャプテンになるような子は、関取になって活躍するような子は、やっぱりそこがちょっと違いますね。

来場所“横綱”になる条件とは

来場所での横綱昇進が期待される琴櫻関、相撲ジャーナリストの横野レイコ氏はその性格をこう話します。

相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏
相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏

相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏:
大物なんですよね。意外と現代っ子、27歳の若い青年という感じもあるんですけど、どこかこうどんな人が来ても動じないところが。泰然自若、おじいさん(先代・琴櫻)譲りな感じはします。

横綱になるには、「大関で2場所連続優勝またはそれに準ずる成績」をあげる必要があります。
今場所で、14勝1敗という成績だった琴櫻関は、来場所、優勝ないし質の高い優勝に準ずる成績が求められます。

――質の高い優勝に準ずる成績とは勝敗?内容?
相撲ジャーナリスト 横野レイコ氏:

内容だと思いますし、相撲界には準優勝というのは基本的に評価されないんです。二場所連続優勝が基本、理想なんですけれども、やはり今回準優勝の豊昇龍も13勝2敗と言う成績は評価に値する。(過去には)12勝3敗の優勝で横綱になった人もいますから、そういうことで言うと、豊昇龍も綱とりにつながるし、来場所、豊昇龍は優勝することが大事ですが、琴櫻は準優勝でも13勝以上の成績であればダブル昇進の可能性はあると思います。
(めざまし8 11月26日放送)