全国的なサケの不漁が続く中、サケ漁が盛んな新潟県柏崎市では、サケにまつわるイベントに影響が出ている。最も多いときで2万匹とれたサケは1400匹にまで減少した。
2万匹⇒1400匹に…サケ漁盛んな柏崎市でも記録的不漁
秋サケ漁が盛んなことで知られる柏崎市の谷根川では、今シーズンも10月下旬に漁が始まり、20日も午前9時ごろから漁が行われていた。
この記事の画像(9枚)漁をしていた柏崎市さけ・ます増殖事業協会の片山洋一部会長は、「やっぱり3年くらい前からグッと少なくなった。今頃だと、だいたい100匹くらいずつあがったが、今はせいぜい30~40匹」と、全国的なサケの不漁が叫ばれる中、谷根川も記録的な不漁に陥っている状況を口にした。
柏崎市の調査では、谷根川での秋サケの捕獲数は2015年度の約2万匹をピークに減少。2023年度には約1400匹にまで減少した。
その2023年度を2024年はさらに下回る恐れがあるという。2024年度は11月22日までに一日の最高捕獲数が65匹と、2023年の100匹に届いていない。
片山部会長は「投網を1回かければ最低5匹は入った。だいたい多いときで11~12匹が1つの網にかかった。今はせいぜいかかっても2~3匹」と、かつてサケの捕獲量が多かった頃を回顧した。
“さけ豊漁まつり”恒例行事が2年連続で中止に…
NSTに残っていた1991年当時の谷根川での漁の映像には、投げ入れた網に多くのサケがかかっていた。このシーズンは1万3500匹あまりが水揚げされていた。
それから30年以上が経ち、水揚げは10分の1ほどに減少。
この不漁を受け、柏崎市は2024年の『さけ豊漁まつり』の中止を決定。
2023年に続く中止となるため、20日には漁業関係者が市の担当者と、まつりで人気の“サケのつかみ取り”だけでも実施できないか協議したが、中止が決まった。
片山部会長は「つかみどりでは、それなりに鮮度の良い魚を提供しなければいけない。参加人数が約40人のため、予備を含めて50匹は必要。しかし、今は一日にとれるのが30~40匹で、そのうち全部が全部良い魚とは限らないから」と中止の理由を説明した。
サケ漁回復へ稚魚育成などに力「量戻ってくれるのが一番」
そんな厳しい状況の中でも、柏崎市さけ・ます増殖事業協会では、谷根川に戻ってくるサケを増やすために採卵や人工授精・稚魚の育成などに力を入れている。
片山部会長は、「心苦しいのはもちろんだが、こういう状況だからどうしようもない。量が戻ってくれるのが一番。それに越したことはない」と遡上するサケの漁の回復を願った。
地域の名産・文化を守るために、生産者たちの苦労が続く。
(NST新潟総合テレビ)