14日、石破茂首相(67)がペルーで開催されるAPEC首脳会議に出席するため、羽田空港を出発した。その後、ブラジルでG20サミットに参加し、帰国途中にアメリカでトランプ次期アメリカ大統領(78)との会談を調整している。その2人の間に存在すると考えられる「日程の壁」と「共通点の壁」、「安倍の壁」その「3つの壁」を詳しく解説する。
トランプ氏との会談は実現するか
ペルーで開かれるAPEC首脳会議に出席するため、石破首相が羽田空港を出発した。
この記事の画像(11枚)少数与党での政権運営のため、内政で独自色を発揮しにくい中、外交で成果が上げられるか、焦点は2つの大国との関係構築だ。
自由貿易やデジタル化が議題のAPEC首脳会議が開かれるペルーで、石破首相は、15日(日本時間16日)中国の習近平国家主席との初めての会談に臨む。
会談では、中国の軍事活動に深刻な懸念を伝える一方、日中が共通の利益を拡大する「戦略的互恵関係」の推進を確認し、関係構築を図りたい考えだ。
その後、石破首相は、ブラジルでG20首脳会議に出席し帰国するが、経由地のアメリカでトランプ次期大統領との会談を調整している。
側近は「2人は意外とウマが合うのではないか」と期待を寄せているが、まだ日程は確定しておらず実現しても短時間となる可能性もあり、調整の行方が注目される。
共通点の少なさをどう克服するか
ここからは、ジャーナリストで元NHK解説委員の岩田朋子さんが解説する。
青井実キャスター:
石破氏はトランプ氏を会って話せるのか、これを巡っては、「3つの壁」が考えられます。
青井キャスター:
1つ目の「日程の壁」です。
石破首相は14日に日本を出発して、15日から16日までペルーで行われるAPEC首脳会議に参加し、その後、ブラジルに移動して、18日から19日までG20サミットに参加します。ブラジルから帰国する途中の20日以降でアメリカに立ち寄り、トランプ氏と会えるか模索しています。
SPキャスター岩田朋子さん:
水面下で、20日頃に会いたいというリクエストをしたところ、日程を担当する人にはつながって、その方からトランプ氏につながりました。トランプ氏は「Sounds good」と言っていて、会う気持ちはあるということです。
青井キャスター:
各国の皆さんが会いにいくと思いますが、ここで会っておくのが重要になりますか。
SPキャスター岩田朋子さん:
最初に会っておくことが、大事です。
青井キャスター:
日程の壁がクリアできて会えたとして、どうやって信頼関係を築いていくのか。2つ目の壁は、「共通点の壁」ですよね。
宮司愛海キャスター:
トランプ氏との共通点を持って、成功例と言われる外交を行ったのが安倍元首相です。
安倍元首相は、世界の首脳の誰よりも早くトランプ・タワーに赴きました。トランプ氏が1度目の大統領になることが決まって以降、初めて会った外国の首脳が安倍元首相でした。
そして、笑顔が印象的だったのが、安倍元首相とトランプ氏の「ゴルフ外交」です。一緒に「ゴルフ」を回りながら対話する「ゴルフ外交」は、5回も行われました。実は石破首相も高校時代にゴルフ部に入っていましたが、今はやっていないそうです。
青井キャスター:
岩田さん、この時直接取材されていたそうですが、どうやって信頼関係を築けばいいんですか?
SPキャスター岩田朋子さん:
ファーストインプレッションが大切だったと思います。安倍元首相が、最初にトランプ・タワーに訪問した時に、出迎えたのが娘のイヴァンカさんだったんですが、咄嗟に安倍さんは、イヴァンカさんのお嬢さんが、ピコ太郎の踊りを踊っている動画を見たと言ったところすごく喜んだんです。イヴァンカさんが喜ぶということは、トランプ氏も喜ぶということです。そして会談が始まるわけですけど、そこで北朝鮮のブリーフをしっかりやったのが、ものすごく印象に残ったようです。
青井キャスター:
初対面の時は何か共通点があった方がいい気がするんですが、どうでしょうか。
宮司キャスター:
まず、トランプ氏は、ゴルフやテニス観戦が好きです。一方で石破さんは、読書やプラモデルが好きということで、どちらかというとインドア寄りで、トランプ氏がアウトドア寄りです。
食べ物はトランプ氏はハンバーガー好き、石破さんはカレー好きということで、もしかしたら食の方向性はちょっと似ているかもしれません。ただお酒はトランプ氏は飲まない、石破さん飲むというところで、共通点がなかなか難しいところがあります。
青井キャスター:
なかなか厳しい共通点かもしれないですけど、上手くやっていくにはどうすればいいですか?
SPキャスター岩田朋子さん:
取り繕わずにご自身の強いエリアについて話してみて、あまり反応なかったらもう次の話題にするとか。トランプ氏は、ゴルフ、テニス観戦が好きですけど、日本の野球についてもすごく詳しいです。
安倍夫妻とトランプ夫妻で2019年4月26日にメラニアさんの誕生日を祝ったんですが、日本のプロ野球選手についてすごく聞いてきて、「どうしてこんなに大リーグを目指すんだ。金か?」と言ったら「夢だよ、ドナルド」と答えて。
その時に、メラニアさんが「背が高くてハンサムな選手がいるわね」と聞かれまして。その時に安倍さんが「大谷翔平である」と言って、またそこで盛り上がったので、日本のスポーツの話でもいいんですよ。
宮司キャスター:
大谷選手をきっかけにということもあるかもしれないですが、調べたところ、共通点が見つかりました。実は石破首相もキリスト教の信者ということで、お二人ともキリスト教のプロテスタントであるというところで、関係者の中にはもしかしたらこういったことを基に、話が合うのかなという話もあります。
安倍元首相の「政敵」が影響か
青井キャスター:
そして、3つ目の壁は、「安倍元首相の壁」です。大きな壁として立ちはだかっていると言います。
宮司キャスター:
そもそも安倍元首相とトランプ氏は、とても仲が良くて、お互い「シンゾー」、「ドナルド」と呼び合うほどの仲でした。気になるのは、石破氏が安倍元首相の政治上対立した立場である、「政敵」のように知られているというところが、どのように影響していくのかということです。
青井キャスター:
岩田さん、印象も含めてどうですか?
SPキャスター岩田朋子さん:
難しいかもしれませんけれども、安倍さんの通訳がトランプ氏はものすごく気に入っていたので、今回その通訳が同行できるのであれば、これはひとつチャンスかなと思います。
青井キャスター:
トランプ政権との関係は、良くなった方がいいですよね。
SPキャスター岩田朋子さん:
関税を掛けてくる可能性が非常に高いですから、その時に丁々発止で打ち返さなければいけません。
青井キャスター:
アメリカで会えるのか会えないのか、ここを注目していきたいですね。
(「イット!」11月14日放送より)