ただ、将棋だけはモチーフが違います。将棋が生まれたのは平安時代と言われていますが、この時代は「平安」の文字通り、表立った戦争が行われていないんですね。
将棋を嗜む上流階級は戦争をモチーフにしてもピンときません。そこで、もっと身近なものにモチーフを変えたんです。それが財宝です。
王将と玉将が誕生した一つの説
香車の香、桂馬の桂、銀将の銀、金将の金、玉将の玉。この香桂銀金玉は仏教の五宝を指す言葉です。この宝を指す言葉にチャトランガ由来の将、馬、車という文字が付いて将棋の駒になったのです。

ちなみに、今の将棋には王将と玉将がありますが、もともと王将は存在せず、玉将が2枚でした。
豊臣秀吉が将棋を指すときに、玉将の点をとり王将として崇めたことから王将が生まれたという説があります。おしゃれな言葉遊びですね。
安い駒で価値の高い駒を取るのが、将棋の基本的な考え方です。もともと敵の兵力であった駒を自分の兵力にする、というのは少し違和感がある方もいると思います。
しかし、この「財産ゲーム」という考え方をすると、相手の駒を取って自分のものにする、という駒の再利用の考え方も不自然ではなくなりますよね。

寺内ゆうき
お笑いコンビ「ランパンプス」。2013年、楽屋で先輩に誘われた将棋でボロ負けしたことをきっかけに将棋の勉強を始める。年間のプロの将棋観戦は1000局以上。YouTubeチャンネル「よしもと将棋芸人と金チャンネル」を開設し、将棋を知らない人にもわかりやすく将棋の魅力を伝えるための動画の企画・出演・編集を担っている。