特に有名なのが羽生世代。羽生善治九段が生まれた1970年付近に生まれた棋士を指す言葉で、この羽生世代はタイトル獲得者が多いことや、新戦法の開発など将棋界に大きな影響を与えてくれました。

郷土愛の強い棋士も多い

そして3つ目の繋がりは、地元です。

出身地は棋士にとって重要な要素で、全棋士が所属している将棋の総本山「日本将棋連盟」には関東所属と関西所属の2つがあり、居住地によって配属が違います。東京支店、大阪支店くらいの感覚だと思ってくれればわかりやすいですね。

地元の将棋道場に通うため郷土愛が強い棋士も多い(画像:イメージ)
地元の将棋道場に通うため郷土愛が強い棋士も多い(画像:イメージ)

幼少期には地元の将棋道場に通うわけですが、出身地によって環境の差があります。

将棋が盛んな街や都市部に生まれればライバルはたくさんいますが、地方出身の棋士は子供ながら遠くの将棋道場に通ったり、奨励会のために上京して下宿したりする人もいるくらいです。

その分、郷土愛が強い棋士も多く、対局のほとんどが東京か大阪にもかかわらず、地元から離れない棋士も少なくないです。

そして各地域には将棋連盟の支部があり、その土地に住んでいる棋士やゆかりの棋士が将棋教室や大会を開いて、次世代の棋士を送り出すことに貢献しているのです。

棋士というのは小学校の低学年から将棋の実力だけでなく、人と人との関わりによって物語がすすんでいきます。そして、還暦を過ぎても続くその現役生活の中でその関わりが消えることはなく、すべてにドラマがあるんです。

この3つの繋がりをおさえると、将棋観戦がより楽しくなること間違いなしです。

『知るほど観たくなる将棋 ドラマティック将棋論』(扶桑社新書)

寺内ゆうき
お笑いコンビ「ランパンプス」。2013年、楽屋で先輩に誘われた将棋でボロ負けしたことをきっかけに将棋の勉強を始める。年間のプロの将棋観戦は1000局以上。YouTubeチャンネル「よしもと将棋芸人と金チャンネル」を開設し、将棋を知らない人にもわかりやすく将棋の魅力を伝えるための動画の企画・出演・編集を担っている。

寺内ゆうき
寺内ゆうき

1987年生まれ、千葉県出身。吉本興業所属の芸人。
小中高の教員免許(中高は理科専攻)を大学時代に取得し、その後、独学で保育士資格も取得。芸人界初の0歳から18歳まで教育できる芸人になる。
2013年、楽屋で先輩に誘われた将棋でボロ負けしたことをきっかけに将棋の勉強を始める。年間のプロの将棋観戦は1000局以上。タイトル戦の前夜祭や大盤解説などのイベント、各地の将棋道場や将棋バー・将棋カフェにも足を運び、その知識はプロ棋士でも取得が難しいとされる将棋文化検定2級を取得するまでに。
現在は、子供向けに将棋を楽しむワークショップを催したり、将棋イベントを主催するほか、吉本興業に将棋部を立ち上げ、関東将棋ブ!の部長を務める。また、YouTubeチャンネル「よしもと将棋芸人と金チャンネル」を開設し、将棋を知らない人にもわかりやすく将棋の魅力を伝えるための動画の企画・出演・編集を担っている。