関東で闇バイトによる強盗事件が相次ぐ中、住宅を訪問する不審な人物が各地で相次いで確認されている。関東での強盗事件と手口が似ており、警察は下見や情報収集の可能性があるとして注意を呼びかけている。

「塗装工事で臭いがする」名古屋市で不審な訪問

愛知・名古屋市緑区では10月18日、住宅を訪問する不審な人物の姿が捉えられた。

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住宅の玄関に向かう一人の人物。インターホンを鳴らし「すみません」と声を掛けた。住人の女性が玄関を開けると、20代くらいの男性と思われる人物が立っていて、こう話したという。

住人の女性:
近所でペンキ塗りの工事をやっていた。そしたら苦情が出ましたので、ご近所に謝罪に回ってます。「何か臭いはしませんでしたか」って。

しかし、近所で塗装工事は行われておらず、訪ねてきた人物も具体的な場所は明かさなかった。

そして、帰り際に不審な人物は、男性が家の中にいるかを確認するためか、「旦那さんとか息子さんとかお仕事行っちゃってる?」と聞き、住人の女性が「いや、一応家にいるよ」と答えると、「旦那さんとかに言われたら『ごめんね』って言っといてね」と言い残し、帰っていった。

住宅を訪ね回る不審な人物
住宅を訪ね回る不審な人物

また別の防犯カメラには、同一とみられる人物が住宅を訪ね回り、あたりをキョロキョロと見渡しスマートフォンで何かを入力するような仕草も記録されていた。

住人が家にいると、その人物が決まって話すことがあったという。

周辺住人A:
「ペンキのにおいしませんか」って言って。「しませんよ」って言ったら「あーそうですか」ってそのまま帰った。

周辺住人B:
「塗装のにおいってどこですか?」って聞いたの。「そこの瓦がどうだ」とか言われたけど「うち直したばかりだから」って言ったら、「しっかりきれいに入ってますわ」って言われた。

警察によると、「塗装工事で臭いがする」と住宅を訪問する不審な人物が、名古屋市緑区内で10月後半に1週間に約10件確認されている。

犯罪グループが下見や情報収集をしている可能性

そこには関東などで相次ぐ闇バイトによる強盗事件と共通点がある。

千葉・市川市の住宅で10月17日に起きた女性が連れ去られるなどした強盗事件でも、事件の前に現場付近で不審な人物が目撃されていた。

近隣住民A:
遊び人風の30前後の男性が、「変なにおいしませんでしたか?」って。

近隣住民B:
「塗装工事していて、においがくさいと苦情が来ているので、一軒一軒回ってるんです」って。

こちらでも「塗装工事でにおいがする」と住宅を訪ねる人物がいたという。

2024年8月以降、関東で相次いでいる闇バイトによる強盗事件では、不審な業者が、事前に情報収集をしていたとみられるケースもあったという。

不審な訪問者は、愛知県内の他の場所でも目撃されていた。

10月中旬以降、刈谷市、長久手市、豊明市などでも、住宅を訪問し屋根の修理を執拗に勧める業者などについての相談が警察に相次いでいる。

住人の女性:
今事件が多いですよね、関東方面で。(愛知でも)起きるんじゃないかと思います。

警察は、犯罪グループが下見や情報収集をしている可能性があるとして注意を呼び掛けている。

防犯のため2つの対策「対面しない」「攻める防犯」

こうした不審な訪問は、愛知県以外でも起きている。

福岡県では、「インターネット回線の異常を検知したので家の中に入れてください」などと要求したり、長野県では、リフォーム工事・修理、買い取り業者などを名乗る不審な訪問に警察が注意を呼びかけている。

元埼玉県警捜査一課の佐々木成三さんは、まず前提で怪しい・怪しくないなど「見分けようとしない方がいい」としている。よく「名刺があるか」「名乗ったか」などで見分けようなどと言われているが、名刺があっても名乗っても安心とはいえないという。

佐々木さんによると、大切なのは、「いかに対面しないか」ということ、そして「攻める防犯をする」ということだ。

「いかに対面しないか」に関しては、日頃からインターホンを通じたやりとりで終わらせ、訪問業者が来ても玄関は開けずにインターホンで済ませることを徹底してほしいという。なかには宅配業者を装う犯罪者もいるので、宅配ボックスを設置したり、犯罪者は偽物の警察手帳を持っている場合もあるので安心してはいけない。

一方、「攻める防犯」に関しては、録画・録音機能付きのインターホンを設置する、スマホをつなげて監視できるようなものを使って遠隔で威嚇するといったことが大事だ。犯罪の下見には「映像・音声を残すこと」が効果的だという。
(「イット!」11月4日放送より)

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