中国各地で、電車内に椅子やソファを持ち込んで座る「ベンチ族」と呼ばれる人々が問題となっている。椅子を持ち込む理由には、車内の混雑や長時間の乗車など中国特有の鉄道事情が関係しているという。
まるで自宅…ソファ持ち込みくつろぐ乗客
中国の鉄道で、「ベンチ族」と呼ばれる人々の動画が拡散されている。
この記事の画像(11枚)中国・北京市で、大きな荷物を背負った男性がホームからそのまま電車に乗り込むと、背負っていたソファを下ろし、その上に座り始めた。
持ち込んだソファでくつろぐ男性は、全く悪びれる様子もなく、乗り合わせた隣の乗客と談笑している。目的地の駅に着くと、男性は再びソファを背負い去って行った。
中国で、こうした行為は「ベンチ族」と呼ばれている。
杭州市で撮影された別の動画では、男女が家庭で使うような茶色い椅子を列車内に持ち込み、腰掛けていた。
また武漢市で撮影された別の動画では、男性が椅子にふんぞり返り、耳をかきかきと掻き、まるで自宅の居間にでもいるようだ。
こうしたベンチ族の存在は、上海市の地下鉄でも問題となっているなど、椅子の持ち込み行為が、中国で相次いでいる。
中国特有の鉄道事情…混雑が生むベンチ族
周囲には通常の座席に座る乗客もおり、わざわざ椅子を持ち込む必要がないように見えるが、そこには中国特有の鉄道事情があった。
現地メディアが挙げているのは、特に上海市と蘇州市を結ぶ地下鉄11号線の混雑で、この路線は片道約2時間掛かり、車内は常に大混雑しているため、座席にはほとんど座れないという。
また、乗り換える駅も少ないため、途中で席が空くこともないのだという。
そこで生まれた「ベンチ族」のニーズに応えようと、電車内でより座りやすい形状の椅子を販売する人の動画までアップされていた。
安全のため、椅子の使用を控えるよう呼び掛けられてはいるが、当局が厳しく取り締まるまでは至っていない。
(「イット!」11月1日放送より)