10月27日投開票の衆議院選挙に愛知1区から立候補するため、15年務めた名古屋市長を辞職する河村たかし市長が2024年10月11日、最後の登庁日を迎えた。河村市政15年の評価について、かつての支援者やブレーンの証言をもとに振り返る。

■「庶民革命」掲げ市長に…リコールは対立点づくり 専門家「名古屋市政にはほとんど関心ない」とバッサリ

2009年、「オール与党」体制が28年ぶりに崩れた名古屋市長選に勝利した河村さん。「庶民革命」を掲げて市役所に乗り込むと、市民税の減税や職員の人件費カットを実現していった。

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宮永正義さんは、自然保護などの市民運動をしながら、15年前の河村市長誕生を支えた支援者の1人でだ。いまでも親しみやすい人柄を評価している。

河村さんの元支援者 宮永正義さん:

いわゆる政治屋でも政治家でもなくて、政治職の人なんですよね。コテコテの庶民なんですよ。目線がね、普通の人なんですよ、肩書とか身分は関係なくてね、誰にでも自然体に話ができる。

河村市政で長く続いたのが「議会との対立」だ。

公約の議員報酬半減などを巡り、激しくぶつかると、政令市初となる議会の解散請求=リコールを主導。宮永さんも署名集めに加わった。この異例のリコールの裏には何があったのか、河村さんの元ブレーンで、マニフェストの作成などを担った政治学者の後房雄さんに聞いた。

河村さんの元ブレーン 後房雄愛知大学教授:

(河村さんに)どういうことが一番やりたいのかと聞いたわけですよ。そうしたら議会リコールがやりたいというわけですよ。僕はそれは手段だと思っていた(が目的だった)。報酬半減の条例を出すんだと。それを否決させてリコールやるんだっていうわけですよ。

減税や、地域委員会などの公約が実現しつつあったのに、あえて議会と対立点を作り出すことを望んだと批判的に振り返った。

後教授:

要するにそうやって1期で目立ったうえで国政にまた移ると。やっぱり国政志向なんですよ、圧倒的に。名古屋市政にはほとんど関心がないわけですね。掲げる政策は注目を集めるかどうかでたぶん選んでいるので。

市長転身後も「総理を狙う男」の看板を掲げ続けた河村さんだが、後さんは「市政に関心がなかった」とバッサリ。市議会リコールを節目に、袂を分かつことになった。

■“不祥事続き”の「減税日本」の議員たち 元支援者「人を育てる気がない」

名古屋の街づくりをめぐって河村さんは「あおなみ線にSL」「久屋大通にトラを走らせる」「スカイツリーを超える『1000メートルタワー』」など、ユニークな公約を次々打ち出したが、実現に至らなかったものも多くあった。

その一因となったのが、出直し市議選で大量に当選し、市議会最大会派となった「減税日本」の議員たちが、不祥事などで数を減らしていったことだ。

支援者だった宮永さんはこの「チルドレン」たちへの面倒見の悪さを見て、河村さんから心が離れていったと振り返る。

元支援者の宮永さん:

自分以外の仲間・グループ、それを作るっていう気がない。人を育てる気がない、覚悟がない、そういうところは言っても言っても聞かないからダメだね。

市役所全体を動かすトップから一転、1人の国会議員となることを目指す河村さん。国政で仲間づくりはできるのだろうか。

■選挙のたびに“連携模索” 河村さん「木造化は国会で」

選挙のたびに小池東京都知事の「希望の党」や、嘉田滋賀県知事(当時)の「未来の党」、「日本維新の会」などと連携を模索し、今回は、政治団体「日本保守党」の共同代表に就任した。

河村さん:

日本保守党の言っとる、もう1回議員をボランティア化していこうと。それは日本保守党の百田、有本のこの2人しかおらんのです。名古屋城天守閣の木造化をどうしていくかというのは、もうすぐ文化庁に提出できるわけですよ。そうすると国会でやるほうが絶対に効果があるわけです、これは。まあちょっと待っとってちょうだいと。

みずからの持論を団体の公約に盛り込み、国のレベルで実現に近づけると意気込んでいる。

後教授:

初めて名古屋市議会が緊張感を持った。それはやっぱり河村市政ができたことによるプラスの効果。

 宮永さん:

思うようにはできなかったと思うけれど、最低限のことはやってくれたと思います。減税は絶対に普通ではできないこと。

いまでは距離をおく2人も河村さんの「突破力」は評価するが、有権者はどう判断するのだろうか。

■選挙モンスターを迎え撃つ国政政党の候補者らは

河村さんが立候補を表明した愛知1区は名古屋市中区、東区、西区、北区が選挙区だ。自民党の前職、熊田裕通さん、立憲民主党の前職、吉田統彦さん、日本維新の会の新人、山本耕一さんも立候補を表明している。河村さんを迎え撃つ3人の候補者にも話を聞いた。

自民党の熊田裕通さん:

河村さんが減税なら、私は財政出動でしっかり経済を育てる。(日本保守党の)国政政党を目指してやられるということなので、私は自由民主党の議員として胸を張って戦うしかない。

立憲民主党の吉田統彦さん:

いつかこういった形で対峙をする可能性はあるんじゃないかというのは思っていましたし、特別な感情はないです。再び世界と戦える日本、世界の一流国として輝きを取り戻すための素地をしっかりと作っていく、土台をもう一度再建したい。

日本維新の会の山本耕一さん:

河村さんが自転車凱街宣をされたと聞きましたので、同じことをやっても勝てないので、それ以上のパフォーマンスで自転車を朝から晩まで。新人ですので(実績では)勝てないので、思いですね。思いとか、日本を変えていくんだという熱意と覚悟をしっかり見せていく。

衆議院選挙は10月15日公示、27日投開票です。

2024年10月11日放送

東海テレビ
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