1万700人。これは2023年の1年間に子宮頸(けい)がんと診断された女性の数だという。子宮頸がんはワクチンでの予防が可能とされていて、2024年度末までは公費で接種できる年代が拡大されている。
毎年3000人が命落とす「子宮頸がん」
一生のうちに子宮頸がんと診断される女性は76人に1人ともいわれている。
この記事の画像(9枚)ウィメンズクリニック・かみむら 上村茂仁院長:
(子宮頸がんで毎年)2000人~3000人が亡くなっている。20代・30代が一番多い
毎年、約3000人の女性が命を落とす子宮頸がん。子宮の入り口部分にできるがんで20~50代の幅広い年代の女性に発症する。
早期に発見すれば治療が可能だが、初期段階では自覚症状がないことがほとんどだ。
大気中に広くまん延しているヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で、性交渉によって感染する。
子宮体部にできる子宮体がんにはワクチンは存在しないが、子宮頸がんはワクチンを接種すれば高い確率で予防できる。
“キャッチアップ期間”終了迫る
日本では、子宮頸がんワクチンは2011年から公費負担で接種できるようになり、現在は小学6年生から高校1年生までが定期接種の対象で、半年かけて3回接種する必要がある。
2022年から2024年度末までの3年間は、過去にワクチン接種を逃した16歳から27歳までの女性も公費で接種することができる。
上村茂仁院長:
キャッチアップ(取り戻す)期間といって、無料で接種できていた期間が2025年の3月31日で終わる。接種は半年かけて打つので、2024年の9月までに1回目を接種しないと無料で受けられない。自費では1本2万8000円から3万円かかる。3回打つと10万円近くかかる
キャッチアップ期間が設けられたきっかけは、2013年から2021年まで国がワクチン接種を個別に勧めることを差し控えたためだ。
接種後に、副反応で体調不良を訴える声が目立ち始めたことが大きな要因だった。
しかし、2021年にワクチンの安全性について特段の懸念が認められないことが改めて確認され、2022年4月から国の積極的推奨が再開された。
上村院長は「ワクチンによって副反応が出た人は実際にいるので、その人たちを無視できない。
全てのことを話したうえで、自分で判断してもらうことが大切」と話した。
子宮頸がんワクチンのキャッチアップ期間の対象は、1997年4月2日~2008年4月1日生まれの人で、過去に合計3回のワクチン接種を受けていない女性が対象となっている。
ワクチンは半年かけて3回の接種が必要となるため、2024年の9月末までには1回目を接種を受けないと公費助成が受けられない。
痛みの時間は長くても1日
一方で副反応など不安な思いを抱えて、接種を踏みとどまる女性も多いのも現状だ。
そこで実際にキャッチアップ期間を利用してワクチン接種をした女性の声を聞いた。
病院を訪れた20歳の女性は、2回目の子宮頸がんワクチン接種だという。
接種2回目の女性(20):
ネットで以前、ワクチンを打てなかった人が(無料で)打てることを知って来た。1回目が大丈夫だったので、2回目も体調が悪くなることはないかなと思っている
「注射なので刺されて痛い」と話した女性だが、1回目のワクチン接種では体調が悪くなることもなく注射で刺された痛みで終わったという。
23歳の女性は別の目的で来院したが、子宮頸がんワクチンにも関心があり、医師の説明を受け、ワクチン接種を決めた。
接種1回目の女性(23):
そんなに痛くない
子宮頸がんワクチンは筋肉注射のため比較的強い痛みを感じるが、痛みの時間は長くても1日で、運動に影響の出るほどではない人が多いという。
上村茂仁院長:
自分の意志でワクチンを打ちたいという人には打ってもらう。痛いから嫌だ、でもいい。自分は怖いからやめようという人に無理やり打たせない
また、上村院長は「ワクチンを打つ打たないの判断は個人の自由だが、接種を逃した人のためにキャッチアップ期間があることは知ってほしい」と話した。
ワクチンを打つ打たないの選択は個人の自由だが、婦人科での定期検診は子宮頸がんだけでなく、子宮筋腫や卵巣の異常など他の病気を発見するきっかけにもなるため、年に一度は検査を受けることがとても大切だ。
(岡山放送)