イスラエル軍は、レバノン南部でヒズボラの拠点を攻撃するため、18年ぶりに限定的な地上作戦を開始した。
目的は、イスラエル北部住民への脅威を排除することで、占領は意図していないとしている。
ヒズボラは徹底抗戦を示している。
レバノンへの地上侵攻…18年ぶりに開始
イスラエル軍は1日、レバノン南部での限定的な地上作戦を開始したと発表した。

イスラエル軍によると、親イラン武装組織「ヒズボラ」の拠点などを攻撃するため、レバノン南部に越境して限定的な地上作戦を始めた。
レバノンへの地上侵攻は2006年7月以来、18年ぶりだ。

アメリカのニュースサイトは、イスラエル政府高官の話として、レバノン南部に隣接するイスラエル北部住民への脅威をなくすためのもので、地上作戦は時間と範囲を限定し、占領することを意図したものではないと伝えている。
一方、ヒズボラのNo.2のカセム師は、地上作戦の前の日に「備えはできている。われわれが勝利する」と徹底抗戦の構えを示していて、さらに激しくなれば、戦闘が中東に拡大するおそれがある。
民間住宅にミサイル…一時的にイスラエル軍が駐留か
ここからは、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。
青井実キャスター:
30日、「イット!」で地上侵攻に発展するかもしれないと報じましたが、ついに踏み切ったわけです。イスラエルの狙いを見ていきましょう。

宮司愛海キャスター:
イスラエルは現在、ガザ地区のハマスと戦闘を続けています。今度の狙いは、隣国レバノンに拠点を置く「ヒズボラ」というイスラム組織です。この「ヒズボラ」は、ハマスに連帯の意思を示していて、イスラエル側へロケット弾での攻撃を続けてきました。
これに対し、イスラエル軍はレバノンへ空爆を続けていましたが、よりフェーズの高い地上侵攻に踏み切ったということです。
青井キャスター:
ーーイスラエルは限定的作戦としていますが、地上侵攻となると民間人への危険性も高まりますよね。どこまで展開しそうですか?

立石修解説委員室長:
まず考えられるのは、欧米メディアなどの情報を総合すると、「レバノン南部だけを制圧して、一時的にイスラエル軍が駐留」すると考えられています。
イスラエル軍は、9月26日にCG映像を公開しました。レバノン南部の町を再現したCG映像ですが、一見、普通の民間住宅に多数のミサイルをヒズボラが隠していると主張しています。中にはロシア製のミサイルなどもあるとしています。
「レバノン南部が、ヒズボラのイスラエル北部に対するミサイル基地になっている」と主張しています。したがって、この地帯を制圧し、ヒズボラのいない緩衝地帯を作る作戦と考えられます。
青井キャスター:
ーーガザ地区を攻めた時も最初は北部に侵攻しましたが、結局、ガザ全土に戦火が広がりました。そのあたりはどうでしょう?
ヒズボラ完全壊滅を狙う可能性も
立石解説委員室長:
確かにガザの時と状況が似ています。そのため、可能性の2つ目は南部にとどまらず、首都ベイルート近郊まで侵攻する可能性も考えられます。

宮司キャスター:
ロイター通信の映像です。イスラエル軍は、日本時間午後、首都ベイルートの国際空港周辺に空爆を行っています。一夜明けて入ってきたベイルート近郊の映像でも、煙が上がっているのが確認でき、首都近郊で空からの攻撃を継続しているのが分かります。
立石解説委員室長:
実はヒズボラの本拠地は、この首都ベイルート近郊です。そのため今は最終目標とはしていませんが、イスラエル地上軍が南部にとどまらず首都近郊まで進軍し、ヒズボラの完全壊滅を狙うことも考えられます。
イスラエルのネタニヤフ首相は支持強化のために、ハマスだけでなくヒズボラなど、親イラン組織を一掃する可能性もあります。
青井キャスター:
ーー中東情勢が再び緊迫の度合いを増していますが、山口さんはどう見ていますか?
スペシャルキャスター・山口真由さん:
現時点で戦争を望んでるのはイスラエルで、イランはむしろ挑発を回避しようという立場ですが、このままイランが何もしないと、盟主としての立場に関わるので、ここをどう出るかというのは注目されるところだと思いますね。
青井キャスター:
どこまで拡大するのか懸念される中、動きが加速しているように感じることが気になります。
(「イット!」10月1日放送より)