6年前、大阪府羽曳野市で「隣人トラブル」を発端に男性を殺害した罪に問われた男の裁判員裁判。

【動画】隣人殺害事件「懲役16年」有罪判決 捜査機関が有罪立証のもととした「ドラレコ映像」は「被告と犯人の特徴合致すると評価できない」

決定的な証拠がなく、有罪か無罪かが注目された裁判で、判決が言い渡された。

山田裕文裁判長:被告人を懲役16年に処する。

1時間半を超える判決が読み上げられた後、山本孝被告(48)は大きくうなだれ、うつむきいた。

■目撃者がおらず、凶器も見つからなかった

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事件は6年前、羽曳野市の路上で起きた。

会社員の平山喬司さんが(当時64歳)背中から心臓を刃物で一突きされて死亡。

午後9時を過ぎた住宅街で起きた事件で、目撃者もおらず、凶器も見つかりらなかった。

■ドライブレコーダーの映像が捜査のよりどころに

そんな中、捜査のよりどころとなったのが犯人が平山さんを襲った前後が映っていた現場周辺のドライブレコーダーの映像だった。 当時の捜査幹部は…

当時の捜査幹部:『やった。いいの見つけたな』って。ただ、画質は悪いよね。鮮明化には限界があるから、ほかの捜査と相まって容疑性を高めていかないといけない捜査になる。

映像から分かる犯人像は身長が180センチほどの8頭身の細身。

犯人と体型が似ている現場の住宅街の住人で、事件当日、外出していた山本被告が捜査線上に浮上した。

さらに、山本被告は、隣の家に住む平山さんの交際相手と植木鉢の置き方をめぐり、トラブルになっていたことから「殺害動機もある」として、逮捕・起訴された。

■山本被告は無罪を主張

山本孝被告:私は犯人ではありません。

 山本被告は、事件当日、タバコの「ポイ捨て」をしないよう自宅前から駐車場にいた平山さんを見張っていたとして一貫して無罪を主張。

一方で、検察側は懲役20年を求刑していた。

凶器や目撃者など決定的な証拠がない中、不鮮明な映像の人物について裁判所が下した判断は。

■山本被告の家の隣のセンサーライトが点灯したことがポイントに

27日の判決で、大阪地裁は、「ドライブレコーダーの映像が被告の特徴と合致するとの検察の主張は、何等身と評価するかは容易に変わりうる」として有罪の証拠にはならないとした。

また、これまでの裁判で検察側は、平山さんが車から出た直後に、山本被告の家の隣のセンサーライトが点灯し、その後、事件が起きたことから監視していた山本被告の犯行だと指摘。

■山本被告以外の人物がセンサーライトの前を通って犯行に及んだとは考えにくい

これについて裁判所は、現場は袋小路の住宅街で、山本被告が自宅前にいるのに別の人物が、センサーライトの前を通って犯行に及んだとは考えにくい。 「山本被告以外の人と想定するのは困難」で、殺害の動機もあるとして、被告が犯人と推認できるとした。

そのうえで、「被害者に対する恨みを次第に増幅させ、殺害に至った。冷静な判断での犯行で、同情の余地がない」として懲役16年を言い渡した。

■全ての公判を傍聴した記者の解説

大阪地裁前には20回にわたった全ての公判を傍聴した菊谷記者がいる。

法廷での山本被告は、どんな様子だったのか?

菊谷雅美記者:1時間半を超える判決の間、山本被告は微動だにせずまっすぐ前を向いて裁判長の読み上げを聞いていました。 一方で、平山さんの長男は判決の瞬間、涙を流し、閉廷後取材に対し「ほっとした」と話しました。

(Q決め手となる証拠がなく、裁判員の方たちも難しい判断だったと思うが、判断のポイントとなった点は?)

菊谷雅美記者:先ほど裁判員の会見が開かれ、使える証拠と使えない証拠が混在していて、非常に難しい裁判だったと話していました。 そんな中で確定している証拠、つまりセンサーライトとドライブレコーダーに映る犯人の行動から考えて、被告以外の犯行は考えにくいと判断したということです。 判決では、検察が立証する一部について認定されておらず、捜査の不徹底も指摘されています。弁護側は控訴する方針です。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年9月27日放送)

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