俳優の大東駿介さんが、訪れた街のうんちくや、まだ地元住民にも知られていないような魅力を探す「発見!てくてく学」
今回の舞台は大阪府枚方市のテーマパーク「ひらかたパーク」通称「ひらパー」です。
ひらパーに来るのは30年ぶりぐらいだという大東さん。
【大東駿介さん】「夏休みにプールで迷子になって、地元じゃないんで心細くて、ゴーグルの中に涙が溜まっていって目が水没していくのを覚えてます」
■ひらパーは連続営業期間“日本一”
ひらパーは“あること”で日本一の遊園地なんだそうですが…わかりますか?
【大東駿介さん】「日本一、お客様を笑顔にする」
それも間違いではないですが…正解は「連続する営業期間」で日本一なんです。
ひらかたパークは1912年(大正元年)に開園しました。
開園自体は東京の「浅草花やしき」が先ですが、戦時中に取り壊され、その後再建した経緯があるため、連続する営業期間では113年続く「ひらパー」が日本最長なのです。
園内には35種類を超えるアトラクションがあり、夏はプールエリアも人気で多くの人で賑わいます。
大東さんが見つけたのは、2階建てのメリーゴーランド。
2階建ては珍しく、イタリア製で、1990年の国際花と緑の博覧会(花博)で使用された後、ひらパーに移設された大阪の歴史と共に歩んできた貴重な乗り物です。
このメリーゴーランドやローズガーデンを背景にしたウェディングフォトプランも人気で、「古風な装飾だからそれがマッチしますね」と大東さんも興味津々でした。
■113年の歴史 ひらパー開業のきっかけは「菊」だった
ひらパーができたキッカケは何なのか、大東さんが来園客に聞いてみました。
【客】「サーカス?」
【大東駿介さん】「遺跡が出たんでしょ?」
様々な推測が飛び出しましたが、正解は「菊人形展」でした。
「菊人形」とは、菊の花や葉を組み合わせて人形の衣装にする工芸品で、江戸時代から多くの人に愛されてきました。
枚方市の土地はそんな菊の栽培に非常に適していて、古くから菊づくりが盛んに行われています。
そんな背景もあって1912年に現在の場所で「菊人形展」が開かれ、それがひらパーの起源となったのです。
菊は枚方市の「市の花」にも制定されており、ひらパーの広報・赤土さんによると、この場所で元々菊人形展を開催し、そこから遊具が増えていったということです。
開園初期(1926年)の園内マップを見ると、周りは田んぼばかりで「菊の世界」と書かれた塔が描かれています。
菊人形展は2005年に100年近い歴史に幕を閉じましたが、現在も不定期で開催されています。
■来場者半減の状態からV字回復を導いた「超ひらパー兄さん」
平日でも賑わいを見せる現在のひらパーですが、実は一時期、来園者数が減少した時期がありました。
最盛期の1974年度には年間の来園者が160万人を超えていましたが、2011年度には87万人へと減少してしまったのです。
しかし、ある秘策によってV字回復を遂げます。
【大東駿介さん】「その秘策がキッカケで全国的にひらパーが知られたっていうのもありますよね」
その秘策こそ「超ひらパー兄さん」でした。
来園者数を回復するため、地元枚方市出身である俳優の岡田准一さんに園長を務めてもらい、イメージ改革に乗り出したのです。
岡田さんは2013年から様々な企画に起用されていて、2014年には年間の来園者が100万人に満たない場合「解任」するという条件が課されましたが、見事100万人を達成!
V字回復を果たしました。
■「超ひらパー兄さん」が「AI」に!?
【大東駿介さん】「やっぱり岡田さんが園長なられてからぐっとお客さん盛り上がりましたか?」
【ひらかたパーク 広報・赤土さん】「『園長、延長』のポスターのように、100万人突破したりだとか、今でも岡田園長の企画面白いという風にお客様からもお声をいただいています」
現在のひらパーには、なんと、園長と喋れるという「AI園長」まで登場しています。
【AI園長】「こんにちは、AI園長です。エ、エ、アイ、アイ。アイ?AI園長でした」
しかし、全然会話はできず…。
この「AI」は人工知能ではなく、肩に「A」と「I」の文字を搭載しているだけでした。
【大東駿介さん】「確かに肩に『A』と『I』が搭載されてるけど、こっちの勘違いということですか?マジでふざけてるわ!」
■お金をかけないアイデア満載!景色が見えない「ロシアン観覧車」
ひらパーではこのように、お金をかけずに楽しませてくれるアイデアが多いのが特徴です。
過去には様々なユニークなアイデアが実施されてきました。
観覧車は景色が見えるのが醍醐味ですが、全て見えないようにした「ロシアン観覧車」。
ジェットコースターに乗る時に目隠しをつけることでスリルが増す「目隠しライド」。
分別が多すぎる「分別しまくりゴミ箱」など、コストをかけずにお客さんを楽しませるアイデアを作り続けてきました。
■「京阪電車」の技術力が支える安全なアトラクション
ひらパーには、35種類以上のアトラクションがあるのですが、その安全を守っているのは、意外な人たちでした。
【大東駿介さん】「電車の整備士さん」
大東駿介さんの予想は見事に的中。
ひらパーは「京阪グループ」で、鉄道事業が基幹となるため、京阪電車の技術員とひらパーの整備チームが協力して安心・安全を守っているのです。
遊具の点検を外部に委託する遊園地も多い中、ひらパーでは大型コースターなどの一部の機種を京阪電車の車両整備工場に持ち込んで点検を行っています。
【大東駿介さん】「電車の車輪の横でメンテナンスしてるってことですか?」
【ひらかたパーク整備担当・木村さん】「(遊具の)すぐ横に電車と車輪がころがってるような状況です」
【大東駿介さん】「母体が鉄道会社だからメンテナンスがしっかりしている。遊園地としては一番理想的な形ですね」
■遊園地全体がエンタメなひらパー
30年ぶりにひらパーを堪能した大東さん。
【大東駿介さん】「アトラクションは乗って楽しむもの。それにとどまらない遊園地の遊び心をそのままぶつけられてる。エンタメですもんね」
【ひらかたパーク広報・赤土さん】「印象に残るようなものができたらなと」
【大東駿介さん】「いつかちゃんと怒られてほしい。ひらパーのNGラインどこにあるか探ってほしいな」
お金をかけない遊び心と確かな技術力、そして地域に根ざした歴史。
それこそが113年もの間、関西人に愛され続ける秘訣なのかもしれません。
(関西テレビ「newsランナー」大東駿介の発見!てくてく学 2025年8月14日放送)