J3昇格を目指す高知ユナイテッド。昇格にはホームゲーム残り6試合で2万70人の入場者数が必要だ。シャトルバスの導入やチケット販売の工夫が功を奏し1万1085人の観客が来場。会場は熱気に包まれた。
来場者急増でスタッフからうれしい悲鳴
9月1日、JFL・高知ユナイテッドとヴェルスパ大分とのホーム公式戦が高知市にある春野陸上競技場で行われた。

試合を見るために多くの人が会場に集まり、入場口では最後尾が見えないほどの列ができていた。

入場開始する直前、高知ユナイテッドの山本志穂美社長は「ものすごい人です、笑顔で迎えてください」とスタッフたちを励ます。
列の先頭に並ぶ人は試合開始約5時間前(午前10時)から並んでおり、「応援したくて。何とかJリーグに昇格してもらおうと思って」と熱意を語った。

この光景を見た、広報担当の谷田雄士さんは「やばい、やばい、やばい。すごい人がきちゅう」と驚きを隠せない様子だった。
J3昇格を目指し運営も尽力
高知ユナイテッドはある課題を抱えて1日の試合を迎えていた。今シーズンは14勝2敗1分けと首位を独走中だが、J3昇格にはホームゲーム残り6試合で2万70人の入場者数が必要。そこでさまざまな取り組みを行ってきた。

個人や企業を回りチケットを販売。試合開始前までに約8000枚をさばいた。そしてもうひとつの課題が競技場までの移動手段だ。春野運動公園の駐車場は臨時を含めて最大1900台しかなく混乱が懸念されていた。そこで今回は高知競馬場から無料のシャトルバスを用意した。

利用者は「春野の方が混むのかなと思ってこっちが解放しているということで。前に見に行った時もかなり混んでて全然車が置けなかったので」と話した。
このような取り組みもあり会場周辺は試合前から多くの観客であふれていた。
試合に負けるも昇格に一歩前進
そして、午後3時キックオフ。ユナイテッドは前半、相手ゴールを何度も脅かすが、惜しくも得点はならず前半を0対0で終えた。
前半を終え、ユナイテッドのファンは「絶対後半取って勝ちます!」と期待を込める。

スタンドには浜田知事と桑名高知市長の姿も。
浜田知事:
いやすごいきっこうした良い試合ですね。手に汗握って見てます。この勢いで絶対J3当選確実でいきたい。
そして後半5分。ゴール前のこぼれ球を大分のFW中井が決め先制点を奪われた。
一方、運営サイドでは入場者数を発表する瞬間が近づいており、緊張した雰囲気だった。

目標は7000人だったが、1万1085人と目標を大きくクリア。
運営スタッフが、スタジアムのスクリーンに表示する数字を打ち込もうとするも、数字の桁がいつもより大きいため画面にうまくおさまらないといったうれしいハプニングも。

そして、「本日の入場者数は1万1085人でした!たくさんの皆さまのご来場まことにありがとうございます!」とのアナウンスが流れると会場がひときわ盛り上がった。
広報担当の谷田さんは「延期になってもこれだけの方に来ていただけたのであとは勝利を願うのみです」と話す。
ユナイテッドは最後まで果敢に攻めたが、健闘及ばず大分に敗れた。

高知市から初観戦した人は「もうすごい興奮しました。楽しかったです。臨場感が全然違うし一体感、会場の熱気とか一緒に興奮しました」と話す。
県内のファンは「きょうは結果は残念だったけどいっぱい攻めててユナイテッド側も。見に来てよかった」と笑顔で話す。
試合には負けたが課題であった入場者数などをクリアしてチームはJ3昇格へ一歩前進した。

観客が1万人以上入ったことに対して、新谷聖基選手は「すごいですね、申し訳ないです、勝てなかったのが」と話し、「リーグ戦続くので次勝っていきます」と意気込みを語った。

山本社長は「1日延期になってこんなにたくさんの人に集まっていただけると思っていなくて本当にありがたいです。暑い中、こうやって足を運んでくださって応援してくださって感謝しかありません」と感謝の気持ちを述べた。
今回の試合は7000人の動員を目標としていたが、それを大きく上回る1万1085人。ホームゲーム残り5試合で入場者数8985人をクリアするとJ3昇格だ。
(高知さんさんテレビ)