「自分の店を持ちたい」という夢をかなえ、秋田・能代市に古着の店をオープンさせた女性がいる。大人が楽しんで働く姿を次世代を担う若い人たちに見せたいと、商店街の盛り上げに奮闘している女性店主を取材した。
地域おこし隊の活動後、店をオープン
能代市のJR能代駅前に、ひときわ目立つ鮮やかな水色の壁の店がある。

7月にオープンした古着店「GARAGE DIGRU(ガレージ ディグル)」だ。アメリカンカジュアルなTシャツやジーンズなど約700点の古着が所狭しと並ぶ。
店のオーナーは、田中優花さん(31)。能代市で育ち、学生時代からファッションに興味があった田中さんは、高校を卒業後、東京のアパレル企業で10年間働いた。

その後、結婚と子育てをきっかけに古里に戻り、3年間、能代市の地域おこし協力隊員として活動した。協力隊で田中さんは、商店街の空き店舗の利活用に関する業務を担当した。
そして協力隊の任務を終えたころ、田中さんは夢だった古着の店をオープンすることを決断した。

協力隊の活動をしていく中でできたたくさんの人たちとのつながり。街中を盛り上げようと思っている仲間の人たちと一緒にやっていく中で、「駅前の風景を変えられたら面白いな」と思い、空き店舗の改装を決心したのだという。
「出会った人たちが財産」
店は、商店街の空き店舗を田中さんがデザインし、リノベーションした。開店にあたっての準備や改装作業は、協力隊の活動でつながりができた地域の人たちが手伝ってくれた。

GARAGE DIGRU・田中優花さん:
本当に温かくて、3年間で出会った人たちが財産。すごくいろんな人たちと出会って、出会った人の数ほどオープンした時に応援してくれる人がたくさんいて、うれしい。

店の名前に使われている「DIGRU」は、「掘る」「探求する」という意味の英語「DIG」から採ったという。名前の通り、店内には「DIG」したくなる一点物の古着が並んでいる。

種類豊富で合わせ方に悩んでしまうという人は、田中さんにコーディネートをお願いすることもできる。東京で培った服の知識を生かして、一人一人に提案をしてくれる。
古着初心者の坂本桜アナウンサーも選んでもらった。

首元に色物のシャツをレイヤードして、ワンポイントがある黒いスウェットをかわいらしい雰囲気に。今季はストールの小物づかいが人気だそうで、ベルト代わりにアクセントにしたところがポイントだという。
楽しんで経営する姿を見てもらいたい
開店から約2カ月がたち、地域の評判も上々のようで、田中さんは今後「古着屋さんというよりは、遊びに来る感覚で店に来てくれたらうれしい」と話し、誰もが気軽に集まれる店にしたいという。

大変なことも多いが、楽しんで店を経営する田中さん。そんな自分の背中を、若い世代に見てもらうことが次の目標だ。

GARAGE DIGRU・田中優花さん:
大人が楽しんで店をやっているのを、子どもたちや学生の子が見て、こういう働き方ができるんだということを知ってもらえたらいいなと思っている。そういう影響を感じてもらえたらうれしい。
地域の人に支えられ、夢をかなえた田中さんは、これからも古着店を拠点に商店街に新しい風を吹かせる。
(秋田テレビ)