熊本市は、親の就労に関係なく子どもを保育所に預けられる『こども誰でも通園制度』を2024年9月から試行的にスタートさせた。どのようなニーズや課題があるか、保育の現場を取材した。
熊本市が『こども誰でも通園制度』
熊本市東区の認定こども園『やまなみ』に1歳6カ月の子どもを抱いた母親がやってきた。『こども誰でも通園制度』を利用するためだ。
この記事の画像(9枚)制度を利用した保護者は「自分の用事のときに利用できたたら、と預けた。病院に行こうかと思って」と話し、子どもは保育所に預けるのは初めてで、初めは少し泣いていたが、先生に抱っこしてもらって安心した様子だった。
この制度は国が子育て世帯の支援策として2026年度に全国でスタートするもので、熊本市は「ニーズを把握したい」として熊本県内の自治体で初めて、2024年9月から試行的に8つの施設で受け入れを始めた。
制度の対象は、保育所などに通っていない熊本市内に住む6カ月以上3歳未満の子ども。通常、保育所は保護者が就労していないと、利用できないが、この制度では就労の有無は問わない。
熊本市にはもともと『一時預かり保育』があるが、病気や冠婚葬祭など理由が必要。一方、『こども誰でも通園制度』は理由は一切不要だ。
制度を利用した保護者(専業主婦)は「働いてないと保育園に預けられないので、誰でも預けられるのはうれしい。1人で育児していると偏った育児になってしまうので、保育士や同世代の子どもと触れ合って集団生活も学んでほしい〟という思いもあり利用を決めた」と話す。
上限10時間 一時預かりとの併用も
また、『やまなみ』の山崎敬太郎園長は「頼れる場所がなくて、相談する相手がいなくて、部屋の中に閉じこもる方がいた場合には、子どもを預けられる、ちょっと一息つける、距離を置ける施設があるだけで違うんじゃないかと思う」と述べた。
利用料金は1時間200円から300円だが、現場から課題としてあげられたのは利用時間。1カ月当たり10時間が上限だ。
山崎園長は「入園する場合は慣らし保育をしているが、1カ月で10時間は非常に少ない。もう少し何とかなればお子さんも慣れ、安心して預かる態勢はできやすくなるのではないか」と言う。
『やまなみ』では『一時預かり』の併用も保護者に提案し、柔軟に対応している。『こども誰でも通園制度』は施設に直接申し込み、面談、登録ののち利用でき、熊本市によると、8月23日の時点で約70人の利用予約が入っているということだ。
(テレビ熊本)