沼津市の県道で、親子2人をはねて死亡させたにも関わらず、現場から逃走したとして過失運転致死などの罪で起訴されている男の初公判が9月5日に静岡地裁沼津支部で開かれ、男は起訴内容を全面否認した。

ゴミ当番をしていた親子を襲った悲劇

事件が起きたのは2024年1月15日の早朝。

沼津市松長の県道脇にあるゴミ置き場で、男女が折り重なるようにして倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。

事故現場付近(2024年1月)
事故現場付近(2024年1月)
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2人は近くに住む女性(当時59)と息子(当時33)で、当日は自治会のゴミ当番のため、路側帯に設置された集積所にネットを張るなどしていたそうだ。

容疑を否認…一度は釈放も在宅起訴

事件から5日後。

警察は近くに住む鮮魚販売業の男(86)を逮捕した。

現場近くに設置された防犯カメラには、男が乗っていたとみられるトラックの左側面のパネルが開いた状態で走行する様子が記録されていたという。

男が普段から使用していたトラックの荷台には箱型の冷凍庫が設置されていて、左側のパネルは跳ね上げ式に開く構造になっていた。

ただ、男は警察の調べに対し「電柱とぶつかった」「人だとは思わなかった」などと容疑を否認。

警察による実況見分(2024年1月)
警察による実況見分(2024年1月)

翌月には処分保留で釈放された。

しかし、捜査を続けていた静岡地検沼津支部は5月になり、過失運転致死と道路交通法違反の罪で男を在宅のまま起訴。

弁護側は全面的に争う姿勢を示す

そして、9月5日に初公判が行われた。

男は起訴内容を問われると「自分はぶつかっていないと思う」などと否認し、さらに死亡した親子について「風で倒れたと思う」との主張を展開。

また、弁護側も冒頭陳述で「衝突した事実はない」と述べ、全面的に争う姿勢を示している。

静岡地裁沼津支部
静岡地裁沼津支部

一方で、検察側は男のトラックに設置されたパネルのカギが壊れていて、修理を依頼された業者が保冷庫とパネルをつなぐチェーンを取り付けたものの、男が過去にもチェーンを保冷庫に固定し忘れ、パネルが開いたままの状態で車を走行させていたことを明らかに。

その上で、衝突音を聞いた後、男は左側のサイドミラーを通して左のパネルが開いていることに気付いていて、「親子に衝突した可能性を認識していた」と指摘した。

次回の公判期日はまだ決まっていないが、検察側はトラックと被害者が衝突したことを示す証拠書類の取り調べを請求する予定となっている。

(テレビ静岡)

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