全国各地で地震や台風などの自然災害が相次いでいる。地震や豪雨災害を経験した防災士は、「命や暮らしを守るための備えに正解はない」と話す。まずは自分ごとに捉えることだ。
災害を忘れない“忘災”
歌う防災士「しほママ」の愛称で活動する柳原志保さん。各地で防災の大切さを、時には歌いながら、楽しくわかりやすく伝えている。
この記事の画像(8枚)しほママは東日本大震災や熊本地震、熊本豪雨を経験し、その経験をもとに防災の重要性を伝えている。しほママは「備えはどんなにやってもきりがない。でも、あのときに失われた命や困ったことを忘れず、そこから学んで行動することが大切。私にとっての防災は災害を忘れない“忘災”」と語る。
まずは発生時にどう動くか
「防災の日」に長崎市で自衛隊や気象台など8つの機関が備えの重要性を呼びかけた。農林水産省は1人あたり1日3Lの水を備えるよう推奨している。
長崎市の給水袋はリュック式で、両手が空くため能登半島地震の被災地でも重宝された。一方で、大規模災害が起きるとすべてを公的機関だけで助けるには限界がある。
長崎市防災危機管理室の廣田公平室長は「まずはご自身で身の回りのことや災害が発生した時にどうするか、改めて考えることが大事」と話す。
キッチンカーが果たす役割
長崎市は防災の日にあわせて、60の事業者が参加する県キッチンカー協会と協定を結んだ。
「キッチンカーは車が通るところならどこでも行ける。色んな場所に温かいものを届けることができるのが強み」と長崎県キッチンカー協会の安井忠行代表理事は話す。
温かい食事の提供は避難生活の環境改善や被災者のストレス解消に役立つとされている。大規模災害時には調理設備がある車を避難所に派遣し、炊き出しや物資の供給を行う予定だ。
衣食住だけじゃない「備え」
避難先では心のケアも重要である。タオルハンカチとヘアゴムで作る「タオルベア」は、赤ちゃんや子供の不安を和らげるアイテムとして活用されている。
実際に作ってみた人も「特別な材料がいらないのがいい」「災害の時は衣食住の確保しか頭になかったので、なるほど! と思った」と話す。しほママは「備えの入り口は色々あり、これが正解はない。起震車で揺れを体験し、タオルベアを作るなどの“体験すること”で、より自分ごとになる。“やっておけばよかった”という後悔だけはしないでほしい」と語る。
防災科学技術研究所などが公開しているデジタルコンテンツ「地震10秒診断」は、位置情報を入力すると今後大きな地震が発生する確率やライフラインが復旧するまでの目安が示される。災害はいつどこで起きるか分からないため、リスクを知って備えることが重要だと訴えている。
(テレビ長崎)