10代の男子児童にわいせつな行為をし、その様子を撮影したとして不同意性交等や児童買春・ポルノ禁止法違反などの罪に問われている30代の元スポーツスクール経営者の男について、福井地検は8月20日、被害児童が新たに11人確認されたとして追起訴した。少なくとも7年にわたって犯行に及んでいたことが分かっていて、これまでに被害が明らかになっている児童は17人にのぼる。だが捜査関係者は、立件できないものを含めると「実態はもっとひどいだろう」と話す。

十分な証拠の開示を求め認否保留に

不同意性交等などの罪に問われているのは、福井市石盛の元スポーツスクール経営者・藤沢勝己被告(32)。現在は、6人の男子児童への性犯罪について裁判が行われている。

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起訴状によると、藤沢被告は2021年から2024年にかけて、自宅などで県内の10代の男子小学生6人に複数回わいせつな行為をし、その様子をスマートフォンで動画撮影して保存した罪に問われている。

逮捕時は、行為について「自分のしたことに間違いない」とする一方「スキンシップのつもりだった」と話していたが、3月28日の公判では、弁護人が「十分な証拠の開示」を求めて認否を「留保」した。

2回目の公判でも認否保留に

4カ月以上を経て開かれた8月8日の2回目の公判。
藤沢被告はTシャツにジャージ、サンダルとラフな姿で出廷した。マスクをし、長く伸びた前髪は目にかかり、終始うつむいているため表情をうかがい知ることはできない。

改めて認否を問われた藤沢被告は、不安げに何度か弁護人の方を見た後「弁護人に任せます」と小さな声で答えた。弁護人は再び認否を「留保」。理由は明らかにしなかった。

検察によると、藤沢被告は2016年ごろからスポーツスクールを運営していたが、翌年から退会する児童が増え始めた。児童らにスクール継続を希望させる狙いで、自宅に宿泊させてゲームなどを行うようになった。

検察官は「被告は遅くとも7年前から性犯罪に及んでいた」とし、長期にわたって犯行が繰り返されていたことを指摘した。

捜査関係者「実態はもっとひどいだろう」

2回目の公判から12日後の8月20日、福井地検は、被害児童が新たに11人確認されたとして、藤沢被告を追起訴した。

福井地検によると藤沢被告は、最初の起訴より前の期間にあたる2017年から2023年にかけて、県内の10代の男子児童11人に対し、それぞれ自宅や県内外の研修施設などで複数回わいせつな行為をし、その様子をスマートフォンで動画に撮影し保存した疑いがもたれている。この追起訴により、被害児童は合わせて17人となった。

藤沢被告が経営していたスポーツスクールのホームページによれば、約200人が所属していた。検察は「警察から送致された分についての処分は今回の追起訴で全て」としているが、捜査関係者は「確実に立件できるものを追起訴していると考えられるため実態はもっとひどいだろう」と話している。

検察は、証拠として被害児童の話をまとめた捜査報告書や、犯行の様子がわかる写真などを提示し、被害状況を立証したい考えだが、裁判で弁護側は証拠の取り調べについて意見を留保していて、審理を止めている状況だ。

これについて弁護士に取材をしたが、認否や意見を留保する理由について「裁判所にも言っていないものをマスコミに言う必要はない」との返答だった。被害児童が多く、長引く可能性がある裁判。逮捕当時、行為を認めていた被告本人は、今後の裁判で何を語るのか、注視していく必要がある。

(福井テレビ)

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