福井県や福井市では、担当職員が国への補助金申請の手続きを失念するなどし、不交付となる事態が相次いで明らかになっている。県は16日までに、水産課の事業など総額約7億7100万円について、国の補助金の交付が受けられない状況となっている。

補助金不交付が複数明らかに

福井県がこれまでに発表した補助金などの申請ミスは合わせて4件で、総額約7億7100万円に上る。

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発覚のきっかけとなったのは、2023年度の水産課の事業だ。漁港の修繕費や整備費といった、本来受けられるはずの水産庁所管の補助金、約4億6000万円について、県が期限までに事務処理をし忘れた事が原因で交付を受けられなかった。

県は今も水産庁に交付を求め続けているが、このまま交付を受けられない場合、県が負担することになる。その場合、事務的な経費を削減して不足分を捻出、補塡(ほてん)を計るとしている。

また同じ水産課では、2018年度の「若狭マハタ」の養殖施設の整備においても、水産庁への申請自体を怠り、補助金約3億円の交付を受けられなかったことが明らかになっている。

加えて他の課でも、2013年と2018年に手続きの不備で、計639万円の補助金や交付金を受けられなかったことがわかっている。

国からの補助金の不交付が複数明らかとなったことを受け、杉本知事は「県民に不信感を抱かせて申し訳ない」と謝罪した。

県は、他に交付漏れがないか過去にさかのぼって調査し、再発防止策として、ITなどのシステム活用や第3者の部局のチェックなどを、9月議会までに検討していきたいとしている。

「単純なミスであり防げたはず」

一方、補助金申請ミスは福井市でも発覚した。2023年度実施の2つの事業で、計172万9000円の補助金を受けられなかったことが明らかになった。

1つは、県外から福井市に移住した人への支援金について、本来、支援金の2分の1は県からの補助金が充てられるが、市の担当者が移住者への支援金の支払期限を誤って認識していたため、県の補助対象から外れてしまったという。同様のミスは合わせて4件あり、計50万円が交付されなかった。

もう1つは、児童発達支援センターの機能強化事業について、国の補助金122万9000円が受けられなかった。2023年度に国の制度が新しくなったにも関わらず、従来通りの申請をしてしまったことが要因だ。補助が受けられなかった分は、税金や地方交付税交付金などからなる、市の一般財源から賄われた。

市は今回の事案を受け、「単純なミスであり、補助要綱を熟知していれば防げたはず」としていて、再発防止策としては、財務事務に関する正しい知識を習得するためのチェックシートを作ったり、研修会を開いたりするとしている。

県内の他の市町では16日現在、補助金申請漏れは確認されていないが、県や福井市の事案を受けて、鯖江市・敦賀市・小浜市は過去にさかのぼった調査を指示し、坂井市・永平寺町も調査を進め、越前市は定期的に通知を行い体制を強化するなど、対応を急いでいる。

(福井テレビ)

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